第18話 対スケルトンキング戦

 大盾に双剣が連続してぶつかってくる。


 金属同士がぶつかり合う甲高い音が、現状の危機感をより大きく駆り立てる。


 僕が両手で持つ大盾を押し込んでくる力の強さに驚いた。


 どんどん地面を抉られながら後ろに弾かれていく。


 回転が終わったスケルトンキングは、双剣で大盾を何度も斬りつける。


 ようやく隙が生まれたので、隣から紗月が攻撃を仕掛ける。


 今まではどこか冷静で戦っていた紗月の表情は、一変して本気そのもので、鬼人のごとく怒涛の剣戟を叩き込んだ。


 大盾で防いだ感じ、ずっとは厳しいけど、数十秒なら問題なさそうだ。


 ただ耐えていた両手が少し痺れているので、長時間の戦いはあまり向いてなさそうだ。


 スケルトンキングの双剣は凄まじい速度で降ってくるので、木剣で殴るタイミングはほぼないが、伸ばして隙間を狙うのは可能だった。


 強制ノックバックは正常に発動して、伸ばした木剣に当たったスケルトンキングの巨体が大きく吹き飛んでいく。


 紗月は顔色一つ変えることなく、攻撃の手をゆるまない。


 吹き飛ばされたスケルトンキングが起き上がって、また回転斬りをしながらやってきた。


 同じく大盾で全て受け止める。


 五秒は続く回転斬りを大盾で塞ぐと、また双剣で斬り続けてくる。


 その時、一つ違和感を覚えた。


 オークガードの大盾から感じる攻撃を受け止めた感覚が、少しずつ近づいた・・・・感覚があった。


「誠也くん! 盾の耐久値が下がってるよ!」


 耐久値!?


 初めて聞く言葉に驚きながら、隙間を見つけてまた吹き飛ばす。


 次に飛んできたスケルトンキングをまた木剣を伸ばして吹き飛ばす。


 それと同時に紗月が手に持っていた刀を後ろに放り投げて、もう一本の刀を取り出した。


 投げられた刀の刃をよく見ると、刃こぼれしている。


 耐久値ってそういうことか……!


《スキル〖修理〗を獲得しました。》


 新しいスキル!?


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 〖修理〗

 経験値を使用して装備品を修理する。

 ※但し、破壊された場合は不可。

(各レア度×1,000)

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 レア度ということは、Fを一と見て良さそうだ。


 オークガードの大盾はDランクなので三千……!


 タイミングを見計らう。


 三度目の回転斬りを大盾で防いで、紗月の攻撃ターンとなった。


 大盾に今までみたこともない火花が散る。


 紗月の動きを昨日今日見ていて思ったのは、一度の動きの呼吸が非常に大切そうに思える。


 彼女の手が一度止まったタイミングで、また吹き飛ばす。


「紗月! 捨てた刀を僕に寄越して!」


「えっ!? わ、分かった!」


 急いで投げた刀を僕に投げてきた。


 スケルトンキングも近づく前にまた強制ノックバックで吹き飛ばす。


 強制ノックバックが効く相手なら、何度もできる作戦だからこそ戦える。


 投げられた刀を拾ってすぐに経験値を付与した。


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 【鋼鉄の刀Lv.1】

 カテゴリー:武器

 レアリティ:Cランク

 攻撃力+300

 Lv1:攻撃力+150

 Lv5:攻撃力+200

 Lv10:筋力+100

 Lv15:俊敏+100

 Lv20:防御無視10%

 Lv25:二刀流

 Lv30:超切断

 Lv35:攻撃力+250

 Lv40:一刀両断1%

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《スキル〖隠蔽いんぺい〗を獲得しました。》


 Cランクを進化させるには経験値が3,000必要だ。レベル5の分は無理だが、レベル1なら可能だった。


 攻撃力が二倍に。これだけで相当強くなったはずだ。


 さらに経験値4,000を使って刀を修理して、3,000を使って大盾を修理した。


「紗月!! この刀を使ってくれ! 次の攻撃から長時間耐えるから!」


「っ!? わ、分かった!」


 四度目の回転斬りを大盾で耐える。


 数秒後、体勢を整えて双剣で乱舞するスケルトンキング。


 それをじっと耐える。


 進化した刀を抜いた紗月の目が大きく見開いて、覚悟を決めたように、目をつぶって一度深呼吸をした。


 目を開いた紗月の周囲に、淡い水色の光が広がる。


「――――刀術【百花繚乱ひゃっかりょうらん】」


 凄まじい気迫の紗月の乱撃がスケルトンキングを襲う。


 何度も何度も斬り続ける紗月。


 スケルトンキングは構わず大盾を斬り続ける。


 どんどんへたっていく大盾を、途中で修理を二度使った。


 そして――――巨体のスケルトンキングがその場に倒れ込んで、光の粒子となり消えた。


「っ!!」


 真っ先に刀を投げ捨てて僕に走ってきた紗月は、目に大きな涙を浮かべて僕の胸に飛び込んできた。


「紗月。ありがとう」


 紗月は僕の胸に顔を埋めて、小さく顔を横に振った。

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