第8話

 和葉と珠美。

 アイオーンチャンネルの二人を中心とし、勇者パーティーとその他有望な冒険者たちで構成された京都攻略メンバー。

 京都は日本の中でも歴史ある町であり、天皇陛下が住まう皇居もあった場所。

 日本という長き国の威信であり、誇りとも言える京都の解放は誰もが望む至上命題であり、それを成し遂げんとするメンバーへのバックアップは想像を絶するものがあった。


「に、日本企業の全てが解放に協力……支援内容も上辺だけのものでなく手厚。わ、私たちが千代田区を含め、多くの町を攻略する時に受けた支援よりも遥かに豪華……」


「こ、ここまで露骨に差が出るものなの?」


「お、俺もこれだけの支援はさすがに想定外だ。ここまで支援が手厚くなるのか」


 ダンジョン攻略にも、ダンジョンスタンピードの影響下にある街を解放するのにも、当然個人の力は大切となるが、受けられる周りからの支援。

 兵站、装備、情報。

 他からの支援、国や企業からの支援を絶対に必要とする。


 そんな中で、京都解放時に受けられる支援は和葉たち二人はもちろん、長らく日本の頂点に君臨し、英雄であり続けた悠真たちですら驚かせるほどの手厚さであった。


 国からの支援はいつもより更に手厚く、普段は支援に参加しない企業、出来ない中小企業からも出来る限りの支援が寄せられている。

 この量は全員の想定外のものと言っていいだろう。


「流石は天皇陛下と言ったところだろうか……」


「こんな暗い世の中で日本全体の団結力を高める必要がある中、日本の尊重で在られる天皇陛下は常に民に寄り添っていましたからね。天皇陛下に対する日本国民からの尊敬の念は日々高まっていますし、それに伴ってのことでしょうね……数千年間の歴史を持つ王族の凄さがわかるわね」


「だね……でも、これだけの支援を受けられれば京都解放もスムーズに行けるはず……相手は底も意図も読めない最強生物であるイムちゃん……どれだけの支援を受けても足りないからね」


「えぇ、そうね……相手はあのイムくん、だもんね……」


 珠美は和葉の言葉に対して少しばかり視線を下げながら口を開く。


「みんなで頑張ろうね!」


 どこか意気消沈とした珠美には気づかず、和葉ら元気に声を張り上げるのだった。

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