第3話

 生放送されている番組内で、


「まず、私たち魔物は階級で分かれており、知性の持たぬ下級、知性を手にした中級、知性と確固たる力を手にした上級。そして、その上。格別した強さを持った異次元の存在たる超級がいるわ」


「ふむ、君はいくつなのかな?」


「私は中級でしかないわ。私たちゴーレムは鉱物を使い、大きな体を作ることは出来るけどそれだけ。力も防御力も足らないのよ。でも、家を作るのであれば私たちの能力が非常に使えるのよ。だから、私たちゴーレムは超級の方々の家として仕えているのよ。このおかげで私のような中級でも超級の方々と交流を持てているのよ」


「その超級、って分類にイムちゃんが入るんですか?」

 

 アレナの説明に対して和葉が疑問の声を上げる。


「えぇ。そうよ。イムちゃんとか、みんなが知っているのであればあの子の口から出来てたもう一人のスライムであるマザーとかになるわね。それで、今回のこちらへのダンジョンを使っての侵攻も、ダンジョンスタンピードも、そのすべての作戦を立てたのは超級の魔物の方々であり、詳しいことは私知らないのよ。私が言われたのはダンジョンとしてこの世界で体を広げておくことだけ。中にいる魔物も、ダンジョンスタンピードに関しても、勝手に私の上がやったことだもの」


「責任逃れか?」


「そう捉えるのであれば勝手にそう捉えれば良いわ。別に私はどっちでもいいもの」

 

 毒を吐く悠馬をアレナはさらっと受け流す。


「……貴方、こっち側にいて良いの?」


「あのスライムにそっちの方がおもろいし、ご主人たちも心配だから味方してあげて、って言われたわ」

 

 そして、珠美の質問に関しては真面目に答える。


「……裏切ら、れちゃいましたけどね」 

 

 アレナの返答を受け、和葉が自嘲気味に言葉を漏らす。


「それはちょっと意外なんだけどねぇ。あの子ってば気分屋で狂人だけど人情には厚い方だった思うんだけど。まぁ、私の知ったことではないわね。あのスライムが私の上司ってわけじゃないし」


「まぁ、あのスライムが倒すべき俺らの敵であることには変わらん。目的としてはさしずめ、こちらの世界を手に入れることか?世界支配。実に悪役らしい目的じゃないか」


「「……ッ」」


 はっきりとした憎悪でもってイムを敵として、その目的を世界支配であると結論付ける悠馬。

 横暴とも言えるような決めつけであるが、悠馬の強い言葉と実際に行ったイムの行動と言動を知る悠馬と珠美は何の反論も出来ずに押し黙る。


「いえ、そう考えるのは時期尚早ではないでしょうか?」

 

 だがしかし、そんな悠馬に対して反対意見を述べる男が一人。

 それはかつて、とある番組の生放送でイムを殺すべきだと声を上げ、イムに殺意を向けられた一人のダンジョンに関する専門家を名乗る初老の男性、大貝一郎であった。

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