第2話

 かつて、イムが乗り込み、喧嘩を吹っかけてことのあるニュース番組の生放送にアイオーンチャンネルの二人と勇者、そして千代田区ダンジョンことあれなが出演していた。


「それでなのですか、結局のところイムちゃんとの間に何があったのでしょうか?」


「ここで詳しく語るような内容では無い。京都は全滅し、それを引き起こしたのはあのスライムであるということ。ただそれだけ知っていればいい。そんなことより、だ」


 アナウンサーの質問に対して悠真は素っ気なく答え、視線をアレナの方へと送る。


「大事なのは君の存在。君が敵か味方か、一体どんな情報を持っているのか、ということだ」


「うーん、そうねぇ」


 悠真に話を振られたアレナは首を傾げ、どう答えるべきか悩ましそうな表情を見せながら言葉を続ける。


「敵か味方か、って言われたらどっちでもないわねぇ。私としては興味無いもの」


「ダンジョンとして、多くの人を殺しておいて、かい?」


「そうね、そこからよね。一から話す必要があるわよね」


 悠真の言葉にアレナは苦笑しながら答える。


「まず、私たち魔物はこの世界では無い別世界……うーん、異世界、と言うとまた違うのだけど、そうね。同じ世界ではないけど、繋がっている世界。地獄のような場所かしら。ともかく、私たち魔物はちょっとした異空間からの侵略者だと思ってくれればいいわ」


「侵略……その目的は?」


「そんなの知らないわ。私なんて所詮、下も下。詳しい目的を知らされることもない一兵卒よ。そもそも、ダンジョンっていう大層な名前を持っているけどそんな凄い魔物じゃないわ。私なんてただのゴーレムよ、ゴーレム。核を中心とし、鉱物によって体を作るね。私はあくまでダンジョンの壁や天井でしかなく、中にいる魔物は私でもなければ、私の管轄でもないわ。買いかぶりはやめて欲しいわね」


 悠真の言葉に対してアレナは肩を竦めながら答え、言葉を続ける。


「だから、どんな情報を持っているかに関してはあまり期待しないで欲しいわ。でも、とりあえず私の知っていることは喋ろうと思うわ。あのスライムにと口止めされていないし」

 

 アレナは未だ敵なのか味方なのかもハッキリとしないまま、説明を始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る