第6話

「それで?何か弁明はあるかしら?イムちゃん?」

 

 スラムのぼろ家から打って変わってご主人の家となった日本の一等地にそびえ立つ高層ビルの一室で僕は正座させられていた。

 そんな僕の前では珠美が仁王立ちで立ちふさがっている。


「これはどういうこと?」

 

 珠美の手に握られているスマホの画面が映しているのは僕の衝撃発言による


「イムちゃんは私たちアイオーンチャンネルの顔なんだよ?ただでさえ知性ある魔物を有するパーティーとして各所で波紋を起こしているのに、またこんな問題発言して……ッ!」


「いやぁー、悪いとは思っているんだよ?でも、割と必要な忠告だと思ったんだよ?僕は。このまま魔力発生装置を使っていたらダンジョンスタンピードの途中に地上で魔物が発生する事態になりそうだったし」


「……だとしても、あの場ではっきりと人類の味方しない宣言をする必要はなかったじゃない。おかげで第三次迷宮大氾濫を引き起こすのはあのスライムだ!っていう話も出てきているのよ?」


「でも、それじゃあ人間は成長しないでしょ?僕が死んだときにどーするのさ」


「……イムちゃんが死ぬような事態とかもう人類が滅びを避けられる可能性はゼロじゃない」


「たとえ何があろうとも希望を捨てず、足掻き続けることだけが取り柄の人間がそんなこと言っちゃダメでしょーが。というか普通に僕がわざわざ人類を救う必要もないでしょ……嫌だよ?全員を守るなんて面倒なことをするの、僕。人間を助けるために動き続ける僕も明確に僕なのだから」


 ずっと人類を助け続けるとか面倒だし、暇すぎる。

 そこまで手を広げるつもりもない……僕は自分の目の前で困っている人を助けるくらいがちょうどいい。


「はぁー。そう……そうよね。スライムであるあなたに期待しすぎるのもダメよね……もう立ち上がって良いわよ。次にこんな大騒動を引き起こすときは同じパーティーメンバーでチャンネルを運営する私の方にも一言入れてくれると嬉しいわ……あぁ、後。第三次迷宮大氾濫がいつ頃来るとかってわかったりする?」


「んー。一週間後とかだと思うよ?」


 僕は正座の状態から立ち上がりながら、珠美の疑問に答える。


「……イムちゃん、ちょっと正座しようか?」


「なんでぇ!?」


 立ち上がった僕に対して告げられる珠美による再びの正座しろ命令に僕は困惑の声を上げた。

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