第21話
幾度かのダンジョン配信、雑談配信をこなし、チャンネル登録者数もそろそろ百万人が見えてきた頃。
「どうも皆さん、こんにちは。リーフです。今日はダンジョン配信をやっていきます。今日はとうとう二階層に潜るかもしれません!それでは今日もよろしくお願いします」
そろそろカメラの前で喋ることにも慣れてきたご主人が滑らかな言葉で挨拶する。
……叩いてツッコめるような問題がご主人にないため、僕は大人しくプラカードで叩くことなく普通に登場する。
コメント
・配信キタコレ。
・待ってた!
・ご主人を叩こうとウズウズしているスライムがおるぞw
・スラ美少てぇてぇ
・ご主人が成長したせいでスライムの活躍が…w
コメント欄を逐一確認しながら僕はご主人の配信をコントロールしていく。
『今日はとうとう二階層へと進んでいこうか。一階層の壁の魔力吸収量と二階層の壁の魔力吸収量はあまり変わらないから、一階層も二階層もそこまで魔物の強さは変わらない。でも、魔物の量が増えて、複数行動している魔物が多くなるし、極稀に強力な個体も出現する。二階層では気をつけなきゃいけないことが増えるから、ある程度ダンジョンに慣れてから来るのをおすすめするよ』
「なるほど……二階層は危険が一杯なんだね!」
ご主人が二階層へと降りる階段に向かってダンジョンの中を進んでいる間、僕はプラカードに注意することを書いて掲げる。
コメント
・ん?壁の魔力吸収量?
・はぇー、為になる。
・この完璧な注意喚起に混ざられる嘘ってなんなの?
・やっぱりこのスライムは明確な意志を持った魔物なのだ!だからこそそんなことを知っている!
・妄想乙
あれやこれやと書かれるコメント欄とは裏腹に、ご主人と僕は実に和やかな雰囲気でダンジョンの中を進んでいく。
「ちゃんと注意して進んで行かないと……強力な個体を避ける方法はある?」
『もちろんあるよ。だけど、判別方法を習得するのはかなり難しいかな。基本的に強い魔物はより濃く、より多くの魔力をその身から放出している。その魔力を察知すれば良いのだけど……魔力察知の習得は困難。そこでこれ!』
僕は自分の体からニュルンと一つの鈴を取り出す。
『これを使う。これは魔力に反応して音を鳴らせる鈴。なんか世間一般から音を鳴らすだけとか使えなくね?とかいう意味わからない評価を受けているけど、普通に格別の能力を持った鈴。こいつを持って歩いて、普段よりも大きな音が鳴ったら強力な個体がいる証拠だから逃げていい。魔力察知が出来るようになるまでは必須の装備だよ。ということでどうぞ』
「おぉー!」
僕から鈴を受け取ったご主人は歓声を上げながらそれを手に持ち、ダンジョンの中を進んでいくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます