第13話

 人類がダンジョンにいる魔物と戦うのに使うのは三つ。

 ダンジョンに潜れば潜るほど、魔物を倒せば倒すほど上がっていく身体能力。

 空気中の魔力を使って発動する魔法。

 ある日突然覚醒して使えるようになるスキル。

 これら三つを使いこなすことで人は魔物と戦うことができるようになるのだ。


 そして、人類は当然のようにこの世界にダンジョンが出来てから初めて使えるようになった魔法並びに魔力の研究を行い、元からあった科学技術と融合させることに成功していた。

 

 地上はダンジョンの中と比べて空気中の魔力が薄く、魔法を活用した現代技術の結集たる魔道具を地上では使うことが出来ないが、ダンジョンの中であれば問題なく使うことが出来る。


「ぷぎぃ」

 

 ダンジョンで探索者が配信する際に使う高性能小型カメラ。

 魔法の技術によって自由自在に空を飛んで動き回り、使用者を追尾して拡大縮小、ピント合わせまで。

 何から何までやってくれる本当に便利なカメラである。

 

 僕はそんなカメラを起動し、新しく作った配信用チャンネルで配信が始まったことを確認してからプラカードを取り出す。


『配信開始!自己紹介をお願い!』

 

 仮面を被ったご主人へと僕はプラカードで指示を出す。


「ど、ど、どうも……初めまして。今回新しく配信者とさせていただきました。リーフです。よ、よろしくお願いいたします」

 

 カメラの前ということがあるからだろうか。

 とんでもなく緊張した様子を見せるご主人。


「え、えっと……それで、そのぉ……」

 

 そして、そのまま二の句が告げられないような状態となったご主人へと僕はプラカードを掲げる。


『僕の紹介して』

 

「あっ!今日はですぅね!わ、私の可愛いお仲間さんであるスライムちゃんも来ていりゅんでしゅ!どうぞ!」

 

 正気か?と思うような呂律を見せるご主人の紹介を受け。


「ぷぎぃ!」


「スライムちゃん!?」

 

 僕はプラカードでご主人の頭を軽く叩きながらカメラの前に姿を現す。


『挙動不審すぎ!呂律まわってない!緊張しすぎ!ダメダメ!』

 

 お叱りの言葉を書いたプラカードを僕は振り回しながら何度もジャンプして見せる。


「ひぃぃぃぃ!?ごめんなさい!」

 

 怒りのプラカードを見たご主人は悲鳴を上げながら謝罪の言葉を口にした。

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