スライムに転生しちゃったけど、陰キャボッチ底辺美少女配信者に拾わせたので自身の飼い主である彼女をバズらせ、有名な配信者にしてあげようと思います!
リヒト
プロローグ
プロローグ
吾輩はスライムである。名前はまだない。
どこで生まれたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめしたところでPCを操作し、小説やらイラストやら動画を作って食い扶持をしのいでいたことだけはきお……ん?薄暗くてじめじめしたところ?
ふっざけんなッ!僕の家はオシャレで活かしているんだぞ!めちゃくちゃレイアウトに拘ったんだ。
薄暗くてじめじめしたところなどと言われてはたまらない……自分から言ったことだけど。
「ぷぎー」
僕はそんなことを考えながらズルズルと自分の体を動かし、前へ前へと進んでいく。
……何故、こんなことになったのだろうか。
手もなく、足もなく、頭もなく。
人の顔よりも更に一回り小さく、何の凹凸もなく、水色に輝くシンプルな丸いボディ。
とあるゲームの登場以降日本で急速に認知度を上げたスライムと呼ばれる魔物の姿となってしまった僕は虚無の心を持ってダンジョンを進んでいた。
……なんでこんなことになったのか。
それは数日ほど前にさかのぼる。
と言ってもそんな長ったらしい話はないのだが。
年齢19歳、大学生であった牧ケ谷和人。
小説家、イラストレーター、動画投稿者と様々な活動を行い、そこそこのお金を稼いでいた僕が動画撮影のためにやってきたダンジョンでやらかして死んで……次に目が覚めたらどういう原理かはわからないけどスライムになっていたという話である。
意味が分からない……ッ!なんという理不尽。
いや、僕としては第二の生を得られたことを喜ぶべきであろうか。
「キャーッ!!!」
「ぷぎぃ?」
僕が何とも言えない気持ちを抱きながら特に意味も理由もなくダンジョンの中を進んでいたところ、遠くから女の子の悲鳴が聞こえてくる。
「ぷぎぃ……」
悲鳴がした方へと僕が向かうとそこには武装した女の子が緑色の肌を持った子供くらいの背丈の魔物、ゴブリンに襲われているところだった。
探索者かな?
人の命を奪う魔物が出る代わりに様々な資源を採取することが出来るダンジョンに出向き、資源を採取するのを主な仕事とする探索者であると思われる冒険者
「ぷぎー」
魔物としてはここで人を襲い掛かるのが正解だろう……だが、人としての記憶を持つ僕はどうだろうか?
ゴブリンに襲われている少女は絶世の美少女とまで言えるような圧巻の容姿をしている少女である……男たるもの。一度は美少女のペットに。
美少女の胸に抱かれ、散々に甘やかされるペットになりたいと思ったことがあるのではないのだろうか?
「ぷぎーッ!!!」
待っていろッ!
今から助けに行くからな!絶世の美少女と言えるほどに可愛い僕の飼い主よッ!
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