宇宙船と生贄

ボウガ

第1話


ある村に飛来する宇宙船。村が管理する一番大きい山のふもとに落下、村人はそこを封鎖。

近未来的なレーザー銃をもっていて、暴力では歯が立たず、村長が交渉へ、ufoの資源が足りなくなったと生物の生贄、それも人間の生贄が必要と語り、村人のいけにえを求められる。

犯罪者ばかりもとめられたので、村人は嬉々としてささげる。

ある占い師の少女。途中から彼女が彼ら宇宙人の手足となり働く。

というのも30人を超えたころから、とても重罪とはいえぬ軽犯罪者までもが

いけにえに捧げられる。いけにえがささげられると村人はどうなるのかその先まではどの村人

もしれない。ただささげられたあとには宇宙船、ufoは光を放った。


占い師の少女だけが、この仕事を喜んでやっていた。だれもが彼女がただ健気に村のためだけを

思って仕事をしているとおもっていた。彼女はとても口達者で演技上手だったからだ。

(宇宙船のエネルギーをもとに戻すために必要なことだ)

そういつも言っていた。


しかし、少女は初めの頃、宇宙人たちと、村人には黙って密約を交わしていたのだった。占い師は村にとって重役であり封鎖されたふもとに少女だけが立ち入れた。そこに深夜入るのも少女だけだった。密約はそこで交わされていた、宇宙船がおちて、交渉の初期の初期段階。普通は薄気味悪くて日中でも誰も近寄らなず、宇宙人は人の姿をしているとはいえ、声が合成音声のように奇妙だし、彼らと進んで接触をするものもいなかった、いけにえになった人々のその後をだれもしらない。ただ、村の誰もが手足に綱をかけられ宇宙船の中に入っていくのを見送っただけだ。

密約の内容はこうだった。

『もしあなた方に、UFOのように発展した技術や科学があるのなら、自分の祖母が病弱で近頃、目覚めが悪いというので、祖母の目覚めがよくなるように、そして少しでも体を若返らせてほしい』

(祖母は、若いころの体に戻りたがっているのです)

そういう少女の願いに、彼ら宇宙人は答えた。

『いいだろう、若いころの姿と、病気に対する強さ、いい目覚めをその老婆に与えよう』

その密約の以後、彼女はもくもくと宇宙人のために働くようになったのだった。


 かねてからこの村で愛されたその少女は、村で占い師として重宝され、すばらしい大きな住宅を与えられた。彼女は時に占いを失敗したが、持ち前の演技力と口のうまさで失敗をごまかしていた。だが少女は人が嫌いで、なるべくプライベートでは人と接触しないようにしていた。少女の家は、きらきらとした宝石類や、衣装で満たされていた。

 

 そんなだから彼女が、犯罪者を村に進んでおく役回りをさせられたが、少女が望んでそうするので誰も口出しはしなかった。少女が手にかけた一人目は嘆き苦しんでいた。スリ師だったが泣いて懇願した。少女は彼が宇宙船に入っていくまで見送るだけだった。


二人目は詐欺師だった。人から金銭をだまし取る天才で、少女は生物が永遠の夢が見られるという謎の液体で満たされた人一人やっと入れる高さのカプセルの中、命じられるまま、一人目と同じように彼を犠牲にするためにそこへ押し込んだ。彼は無言で平気だった。液がみたされた中へ入ると、すぐに眠りについた。

(こうやって人柱にするのね)

少女はそこで学んだ。


ようやく、10体目です。

『いけにえに捧げます。この悪意ある人間を』

少女が最後にてにかけようとしのは母親だった。これで少女の役目は終わるはずだった。その瞬間、少女は液体カプセルの背後から現れた奇妙な宇宙人が髪の毛を伸ばす。少女は薄々きづいて

いた。普段は人間の姿をしている彼らの一番奇妙なのはその髪の毛のふりをした触手だと。

『お前こそが最後のいけにえだったのだ、さあ、カプセルへ入れ』


母親が笑い出す。母親とは生まれてからずっと馬が合わなかった。自分のことを本当の娘としてみていないようだった。

『あんたは私の娘じゃなかったのよ!!カプセルで光る彼らをみて!!あははは!!』

少女は混沌とする意識の中で、奇声を上げる母親がぶたれ、つれていかれるのをみた。

『新しい目覚めを迎えよ』


『いや、何をするの?新しい目覚め?私死ぬの?それとも、ここでずっとこのカプセルの中で、宇宙船の力になるの?忘れたくない!!私は、この村で愛されていたの!』


『忘れる?いや、お前は思い出すのだ。』



次の日、目覚めた宇宙人。かつて少女だった宇宙人。少女と姿かたちは全く同じで、ただ違うのは、顔は確かに少女のものだったが、体は甲冑のような鱗におおわれて、髪の毛は逆立ち触手のようにうごいていた。

『おお、すばらしい』

 

 『ああ、いい朝』

 いけにえになる儀式とは初めから嘘で、実はこの宇宙船はかつて地球に降りた仲間を迎えるためにここにきたのだと、その日の朝しらされた。

 (ああ、“目覚めた”人間はなんて浅はかな生き物だ、罪だ何だと私たちに恐れを抱いて、早く母星に帰らなければ、祖母も迎えにいこう)

 少女の目覚めは爽快だった。カプセルから出されたとき、同胞がずらりとならんで、同じようにカプセルからでてきていた。ぬるぬるとした自分の体をみても気味悪いとは思わず、どこか懐かしさを覚えるのだった。祖母は少女より先に目覚めていた。宇宙人の彼らと同じ、触手が頭から何本も生えた気味の悪い姿で。今までいけにえに捧げた人間たちも、宇宙人の血がまじっており、カプセルの中で触手から奇妙なエネルギー(光を発する)を発し、宇宙船のエネルギーを蓄えていただけだった。ようやく少女はこれまでのすべてを理解し、“新しい朝”を迎えた。


 少女たちは各々のカプセルの前にずらりと立ち並び、今まで敵だとおもっていた仲間に拍手で迎えられる、今までいけにえに捧げていたとおもってばかりいた人々の顔や肩にてをあて、奇妙な言葉を放つ、カプセルにそれぞれ奇妙な文字が描かれていたが、それらは宇宙人の言語でかかれたそれぞれの名前だったらしい。少女も仲間も、すぐにその言葉を“思い出し”使い、“読む”ことができた。

『ごめんなさい、あなたたちも、口のうまい、演技のうまい私と同じ、人間をきらっていたから犯罪を犯したのね』


 宇宙船、ufoはその数十人の仲間をつれて、村を後にした。村人は記憶をけされ、何事もなかったようにまた日常生活に戻るのだった。

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宇宙船と生贄 ボウガ @yumieimaru

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