第297話 真っ赤になってるのどかが可愛い
「……ということで丸川さんと一緒に大学に通うことは難しいでしょうか? 来年一年頑張って剣道で成果を出せば推薦で大学に入学できるんです。
保護者のおばあ様さえお許しいただければまるも……のどかさんも一緒に大学に行きたいって思ってくれてます」
俺と陽菜とひよりの3人でのどか住むアパートの一室を訪ねておばあさんの前で正座して頭を下げる。
ひよりにほだされたのどかが俺たちが保護者であるおばあちゃんと話していいんだよって言ってくれたのは俺と陽菜が北海道から帰って来た日のことだった。
この数日間、ひよりは毎日のようにのどかを呼んで
「ばーちゃん、まるはひよりときょーちんと一緒に大学に行きたいんだよ。まるのわがままを許して欲しいんだよ」
のどかも俺と並んで頭を下げる。
のどかのおばあちゃんは白髪で髪の毛を後ろでまとめているけど優しそうな風貌で、のどかから活発さとアホ成分を抜いて彼女の優しい部分を強調して歳をとらせたらこんな感じかなっていう穏やかな感じのするおばあさんだった。
「あらあら、のどちゃんには好きなように将来のことを決めていいって言っていたのに、やっぱりこの子は私に気を使って高校を卒業したら地元で働くっていっていたのねぇ」
おばあさんが頬に手を当てながら困ったようにいう。
「この子は、のどちゃんは本当に優しい子で、小さなころに両親を事故で亡くして私とおじいさんとで引き取って育てていたんです。そのおじいさんも3年前に腎臓がんから全身にがんが転移して亡くなってしまって。それから私のことを心配してずっとべったりで」
「そうだったんですね。俺たちもつい最近までそんなこと知りませんでした」
しずくは知っていたようだけど逆に中卒で働こうとしたのどかにせめて高校卒業の学歴だけでもと思って同じ高校に誘い一生懸命勉強の面倒を見てお節介を焼いていたらしい。
「学校から帰って来たらすぐにバイトに行って、朝も新聞配達してうちにバイト代を入れてくれて。おじいさんの作ってくれた貯えもあるしのどちゃんが好きなことをして成人するぐらいまでは支えられると思っていたんだけどねぇ」
だから部活も助っ人くらいで本格的にすることもなかったって部分があるらしい。
明るくていつも俺たちのムードメーカーになってくれて、暗い面なんてなにも見せなかったまるは本当に純粋で優しい子だった。
「推薦で大学に行けば授業料も減免されますし、奨学金も出ます。それに俺たちが一緒にいてのどかさんを支えますから。大学卒業したら地元に戻ってくるつもりです。
のどかさんの4年間を俺に預けてもらえませんか?」
「きょーちん……」
のどかが俺の隣で目を潤ませている。
「預けるもなにものどちゃんがやりたいようにやっていいんだから。私からもお願いします。
恭介さんといったかしら、4年と言わず一生面倒見てもらえるとありがたいくらいなんだけどって男の子にこんなこと頼んじゃうのも変かしらね」
俺は変だと思わないけど、この世界は貞操逆転してるから男に頼るって感じじゃなくて女性が独立してる傾向があるからかな?
「ば、ばーちゃん!? 一生とか……いや、まるもずっときょーちんと一緒にいたいけど」
のどかが真っ赤になっている。この状況で逃げたら情けない自分をいつか許せなくなりそうだ。
「おばあさん、のどかさんは俺が幸せにします。認めて貰えるかどうかは分からないですけど、こっちにいる姫川さんや
男の俺がこんなことを言うなんて信用できないかもしれないですけど俺はのどかのことを愛してます。信じて下さい」
もう限界まで赤いと思っていたのどかがさらに赤くなる。
「あらあら、のどちゃんは情熱的な男の子のことを好きになっちゃったのね。恭介さん、お願いしますよ。この子は私がいなくなったら天涯孤独の身になります。のどちゃんもあなたたちと一緒ならにぎやかで楽しそうで幸せだと思うわ。この子のことをお願いします」
「「「頑張ります。のどかさんのことは任せて下さい」」」
俺と陽菜と小烏の声が揃う。本当はハイタッチして認めてもらえたことを喜びたいくらいくらい。そしてなによりアワアワして真っ赤になってるのどかが可愛い。
「あーしは最初から心配していなかったけどね。まるっちのばーちゃんのことは昔から知り合いだけど、ずっとまるっちに自由にして欲しいって思ってるって知ってたから」
翌日、みおの部屋に呼ばれてゆうき達兄妹を待っている間にそんな会話をした。
純真で優しいのどかが真正面からおばあちゃんを大事にしようとしていたから起こったすれ違いのようなものだったみたいだ。
誰もがのどかの幸せを願ってくれていた。俺はこれから本気でみんなと一緒に幸せになるための努力をしていこうと思う。
「前も言ったけど恭っちがやりたいことはあーしたちが支えるから。1人でどうにかしようなんて思わないこと。また怖い顔になってるよ」
そう言いながらみおが抱きついてくる。優しい抱擁、最初は俺と頬と頬を触れ合わせるように抱き合っていたのにいつの間にか舌を絡める情熱的にキスになってしまっていた。
ちゅっ ちゅぅ ちゅる れろっ
みおの手が下半身に伸びてズボンの上からもうガチガチになっているものを撫でられる。
みおの手がズボンの中に入り込もうとした瞬間
ピンポーン!
みおの部屋のチャイムが鳴る。
チッ みおが舌打ちしてる。
「なんで恭っちより1時間後の時間を指定したのにあの兄妹は30分も早く着いてるの? 恭っちと1時間イチャイチャするあーしの計画が台無し……あっ」
みおはイチャイチャしたかったらしい。言ってくれればちゃんと時間をとったのに。
気持ちが分かるからお仕置きじゃなくて頭を優しくなでて軽くキスしてからゆうき達を迎えに出る。
ガチャッ
「待ってたよ。みおは今パソコンに向かって編集してる最中だから俺がお出迎え」
「こんにちは、きょーすけ。今日は光画部の集まりなんじゃないの? 僕がいてもいいのかな?」
「多々良先輩こんにちは。夏休み中に部室以外で多々良先輩と会えるなんて嬉しいです。みお部長の部屋に集合なんて今日は部室じゃできない話なんですか? それにしてもすごい部屋ですね。みお部長のお家ってお金持ちなんですね」
村上にこの部屋がみおの淫スタの収入で買ったマンションって言ったらびっくりするんだろうなと思う。
ワザと聞こえるように会話して体勢を整える時間をあげたのに、3人でみおの編集部屋に戻るとみおはまだ真っ赤な顔をしてパソコンの画面を見つめていた。
やばい、ゆうきと村上に俺たち2人の関係がバレる。
「あ~、みお部長……編集するふりしてエッチな動画でも見てたんでしょ? せっかくだからみお部長のお薦めのエロ動画教えて下さいよ~」
村上ナイス。天然小悪魔系貞操逆転エロ女子の勘違いのおかげで誤魔化せた。
それから20分ほどみおのお薦めエロ動画をいくつか紹介する時間になってみおも冷静さを取り戻した。
俺とゆうきはこれだから女子は……みたいな顔をしてスルーしようとしたのだけど、みおが紹介する動画が前立腺マッサージとか、男子のお尻を責めたり開発する動画ばかりだったから、自分の肛門を責められる恐怖で俺の顔は引きつりゆうきは何故か赤い顔をして太ももをすり合わせていた。
ひよりのインターハイで俺がみおに
のどかとは違う意味でみおに関しては責任を取ってあげる必要があるような……
いや、そんなことはどうでもいい! (いや、俺のお尻的にはよくないけど)
今日集まった本題を話さないと。
「ゆうき、村上。2人でアイドルとしてデビューしてみないか」
俺とみおが考えていたこと……それは2人をアイドルとしてプロデュースすることだった。
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次回更新は10月3日です。
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