第二部 五章 みんなの想い みんなの未来

第294話 ざこ介ってざこざこなんじゃなかったの?

 俺の知っている心愛ここなちゃんは黒髪を後ろで三つ編みにしているような、大人しい小学生を絵にかいたような女の子だった。目はパッチリしてるし笑うと八重歯が見えて凄くかわいらしかった。


 それが貞操逆転しただけでどうしてこうなった?

 ひょっとすると俺とこっちの世界の多々良恭介との違いが影響しているのかもしれないけど……陽菜が大好きな俺とヒナのことが苦手だった多々良恭介、それぞれとの付き合いの中で心愛ちゃんにまで影響が出たという可能性はどうだろう?


 こっちのメスガキになった心愛ちゃんは見た目は綺麗な茶髪のツインテールで顔立ちも可愛いけど笑っている時の八重歯が挑発的で生意気に見えてしまう。


「どうでもいいけど今からシャワー浴びるから出てってもらえる?」

 心愛ちゃんには出て行ってもらおう。もう行水も結構してるんだろうし。

「はぁ? 暑いから水浴びしてるのになんで心愛が出て行かないといけないの? ざこ介がシャワー浴びたきゃ勝手に浴びればいいんじゃないの~? それともざこ介は小学生に裸を見られるのでさえ緊張しちゃってシャワーも浴びれないヘタレなんだ~ ざ~こざ~こ」


 イラつくなこれ! 年上に向かってざこ介とか言うような心愛ちゃんに育てた覚えはない。

 いや、こっちの世界では育ててないから仕方ないんだけど……クソ、こっちの世界の多々良恭介、心愛ちゃんをちゃんと可愛く育ててくれよ。俺の心愛ちゃんが……


「大人だから小学5年生に見られてたって平気だし……泡が飛んでも文句を言うなよ」

「泡くらいしか飛ばせないんだ~ お股にくっついてるのは飾りなの~? 本当にざこ介なんだぁ♡ 大人の男ならぴゅっぴゅっぴゅ~って飛ばして見せればいいのにね~♡」


 相手は子供、相手は子供、相手をしたら負け! 下品なことを言うのはこの世界貞操逆転世界の子供だから!

 同レベルに落ちないように心の中で唱える。大人の俺としてはこんなところで無駄な争いなどするつもりは毛頭ない。

 髪の毛にシャンプーをかけてガシガシ洗う。朝一で海に入ったしね。あの後は水でシャワーを浴びただけだからついでにしっかりシャンプーしておこう。


 シャカシャカシャカシャカシャカ……

 シャ――――――――ッ

 シャカシャカシャカシャカ……


 頭を洗った後シャワーで流しながら泡を切るために髪の毛をすすぐがいっこうに泡が途切れない。どうなってるんだ?

 泡まみれで前が見えないからとりあえずシャワーのコックを捻って水を止める。


 シュコッシュコッ♪


 俺の頭に後ろからこっそり近づいてシャンプーを追加でかけてる小学生がいた。まだ目が開けられないけどこの音はシャンプー容器の音で間違いない。

「こら、シャンプーがもったいないだろうが、イタズラしてないで行水でもしてればいいだろ」


「ざこ介が怒った~♡ 本当、これぐらいで怒るとか大人じゃないなぁ~ おちんちんが小さいから本当は子供なんじゃないの?」

 そういうと後ろから抱きついてきてむぎゅっと握られる。こらっ、子供が大人のおちんちんで遊ぶんじゃない!

「え!? なにこれ……凄く大きいんだけど……クラスの男子の10倍くらいありそうなんだけど」

 ショックを受けている小学生にシャワーを全開にしてぶっかけて小学生が離れた隙に髪の毛の泡を流す。

 やっと目が開けられた。


 立ち上がって振り返る。脱衣所のバスタオルを取ってもうお風呂をあがろう。これ以上、メスガキバージョンの心愛ちゃんの相手をしても不毛だと思うし。

 心愛ちゃんの位置を確認していなかった俺も悪いけど振り返った拍子にシャワーをぶっかけられて後ろ向きに転んでいた心愛ちゃんの目の前に俺の獣のヤリを突き付ける形になってしまった。

 小学生の手とはいえ刺激を受けて血液は海綿体に流れ込み8割くらいの硬さと体積になっている。


「ひっ!? ざこ介ってざこざこなんじゃなかったの? 何なの……しゅ、しゅごすぎる……お、おちんちん大きいの」

 なんだか分からないけど心愛ちゃんが大人しくなってしまった。お股を押さえて真っ赤な顔をしている。


 ひょっとして貞操逆転してるから小学生の頃の俺が元の世界のさちえさん相手に勃起したみたいに俺の獣のヤリを見て興奮してる?

 う~ん、貞操逆転すると小学生の女の子とお風呂に入ることも出来ないのか? 去年までは元の世界でうちの家に泊まりに来た心愛ちゃん(純真)が俺と一緒にお風呂に入りたがるものだから一緒に入って体を洗ってあげてたんだけど。


「はぁ、どっちが雑魚なんだか」

 煽るわけではないけどちょっとだけざこ介呼ばわりに腹が立っていた俺は見下すような目で心愛ちゃんに言ってから風呂場を後にした。ちょっと大人げなかったけどこれでざこ介呼ばわりを止めて、男子に対しても優しくなってくれればいいと思う。


 きっとクラスでも男子相手におちんちん揉んだりしてるんだろうし。さっき俺のを握ってクラスの男子と比べていたもんね。流石にヒナみたいにおちんちん写真を撮ったりはしてないと思いたいけど。


 タオルで体を拭いてとりあえず家の中用に短パンとランニングを身に着ける。俺はこの格好で平気だし涼しくていいけど、あのスルー検定で段位持ちの母さんでさえ「それは目の毒だから止めてくれ」と言ってくるくらいこっちの世界ではセクシーな格好になるらしい。


 カラカラカラカラ……


 力なく浴室の仕切り戸が開き心愛ちゃんが出てくる。

「恭にぃ……心愛もお風呂あがるから体拭いて……風邪ひいちゃうから」

 確かに顔が真っ赤だし遊びに来てくれたいとこの小学生が俺のせいで風邪を引いたなんてなったら母さんとおばさんに申し訳ない。

「仕方ないなぁ……ほら、こっちにおいで」


 裸の心愛ちゃんを膝に座らせるように乗せて頭を拭いてやる。俺がシャワーの水ををぶっかけたせいでツインテールのまま濡れちゃっているので「取るよ」って言って髪についていたサクランボの飾りがついた髪ゴムを引っ張って取ってから丁寧に拭いてあげる。陽菜の髪の毛を拭いていたから優しく拭くことに定評がある多々良恭介なのだ。


 腕、肩、背中、胸、お腹と順番にバスタオルで拭いてあげてお股をトントンと拭いてから足を拭いてやる。立ち上がらせて最後にお尻。うん、全身綺麗に拭けた。

 俺が満足してうんうん、って頷いていると心愛ちゃんが真っ赤になっている。慌てて俺からタオルを奪い取って全裸のままで俺の膝をふきふきしてくれる。

 ああ、濡れたまま俺の膝に座ったから水がついちゃったのが気になったのか。


 意外と可愛いところがあるじゃないか。ナデナデ。ツインテールからストレートヘアになった心愛ちゃんの頭を撫でてやる。陽菜ナデナデ歴14年くらい(中学時代が疎遠)の俺のナデナデで陥落したのか心愛ちゃんがその場でしゃがみこんでしまう。

 流石に見ちゃったらマズいから視線をそらしたけど、素直になってくれたみたいで良かった。


 よく見ると脱衣所の下の籠に心愛ちゃんのパンツとか短パン、キャミソールがあったから立ち上がらせてパンツから履かせてあげる。小さい頃から陽菜の着替えを手伝っていたから優しく(以下略)


 パチンっ


 パンツのゴムを腰のところで手を離す頃には心愛ちゃんの目が潤んでいた。

 いや~、可愛いところがあるね心愛ちゃん。

「可愛いっ」

 思わずつぶやいたら心愛ちゃんがパンツのまま逃げ出した。


「もう無理~……堕とされちゃうから、これ以上恭にぃといたら性癖歪んじゃうから~助けてママ~」

 そのまま、キャミソールと短パンを持って心愛ちゃんと家の中で鬼ごっことかくれんぼをしていたら帰ってきた母さんに見つかって久しぶりにスルーでなくて雷を食らい正座させられました。


「いくら貞操逆転世界の男子だからって子供に、こんな小さな女の子に手を出したらダメでしょ? 陽菜ちゃんに報告してお説教して貰うから覚悟しなさい、恭介」

 心愛ちゃんはパンツ一丁のまま母さんにしがみついて泣きじゃくるし、どうしてこうなった~


 陽菜には「あ~、私をず~っと甘やかしてきた甘やかし世界チャンピオンみたいな恭介くんが小学生の女の子の相手をしたらダメだよ。多分この世界でそんなことされたら大変なことになっちゃうから。

 だ・か・ら……恭介くんが甘やかすのは私だけにしてね」

 そういう陽菜のあまりにも甘やかでかわいらしい笑顔に俺は頷くしかなかった。


 その後メスガキの心愛ちゃんにはべったり懐かれるようになった。解せない。

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 夏休みって親戚とかよく遊びに来ていたなぁって思いながら、この世界の小学生を登場させる機会がなかったので閑話的に書いてみました。

 珍しく完全なゲストキャラです。


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 次回更新は9月30日です。

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