第256話 さちえさんを信じた俺がバカだった
朝目覚めるとみおが俺の股間にまたがっていた……なんてこともなかったし
陽菜は俺の腕枕ですやすやと……みおは寝ている間に暑かったのか思いっきり大股をおっぴろげて眠っていた。
俺はいつもの早朝ランニングの習慣があるのでちょっと早起きだが、陽菜に関しては昨日の夜あんなに激しく何度もエッチしたので体力の限界だと思う。無理させないようにこっそり起きてランニングに行こうと思う。
みおに関しては真っ赤なベビードールが透けてちょっと濃いめの乳輪の色がばっちり見えちゃっているし、ピチピチの紐パンが濡れて染みになっちゃってるのが分かるから目の毒すぎる。
でも、我慢してくれたんだよな……って思うとなんだが逆に胸の中が熱くなってみおへの愛おしい気持ちが溢れそう。
目の前に据え膳じみた俺がいたのに本当に一晩手を出してこなかったから……ことわざを確認してないけどこっちの世界は「据え膳食わぬは女の恥」だったりするんだろうか。
ランニングウェアに着替えて外に出る準備をする。流石にトレーニング用のランニングシャツ一枚ってことはなくて半袖の速乾シャツの上からランニングを着ている。
陽菜とみおが寝ている陽菜の部屋からこっそり抜け出して階段を下りて玄関に向かう。と、さちえさんから声をかけられる。
「恭介くんおはよう。今からランニング? 一人だと危ないからお
そういうさちえさんの格好はいつぞや見たブルマと体操服だった。
アイカワラズヨウイシュウトウデスネ。(棒読み)
「おはようございます。やっぱり一人でいかない方がいいですかね? 陽菜が起きたときに一人でランニングに行ったって知られたら心配するかな」
「そうよ、一人で
なんだかさっきから誤字報告されそうな会話が続いているような気がする。気のせいだと信じたい。
「分かりました。じゃあ書き置きしてからランニングに行きましょう。陽菜の自転車を準備しますからそれに乗って付き添って貰えますか?」
「分かったわ。書き置きしてくるからちょっと待っててね」
そういうと台所に引っ込むさちえさん。
自転車を漕ぐさちえさんと一緒に折り返し地点の公園まで来る。
いつも通りのストレッチ。背中を押してくれながらさちえさんが俺に聞いてくる。
「どう? みんなのおかげで少しはこの世界で暮らすことに安心できそう?」
ああ、やっぱりこの人にはなんでもお見通しなんだな。
「まるとみおのおかげで俺の悩み過ぎだって分かった気がします」
「そうね、陽菜ちゃんが頑張っていたから力になってあげたかったんだけど、私が手を出しちゃうといろいろ歪んじゃいそうで……見守ることしかできなくてゴメンね」
「こっちこそ心配をかけちゃってすみません。それとさちえさんの手を煩わせちゃったらなんだかいろんなところに申し訳ないことになっちゃいそうで……」
「ふふ、恭介くんってひょっとして私のことを結構好きだったりして……」
あれ? ちょっときょとんとした顔をしてしまう。さちえさんって意外と鈍感?
今度は正面から手を引いてもらって股を開くストレッチ。
「さちえさんのことはもともと好きですよ。引き合いに出したらイヤな言い方に聞こえるかもしれないですけど元の世界でも一番信用していたし好きな人の1人でしたし。こっちの世界でも貞操逆転してるだけでベースの性格は変わらないから」
「むこうの世界の私って恭介くんに優しかったんだ。恭介くんが困らない範囲で聞かせて貰えると嬉しいな」
「例えば、むこうに世界に陽菜と入れ替わっていっちゃったこっちの世界のヒナが中学時代に俺と疎遠になってた時に、俺自身と姫川家まで疎遠にならないように俺と直接友達になってくれたんです。
それまではおばさんって呼んでやっぱり陽菜との関係ありきだったんですけどその頃ですね、さちえさんをさちえさんって呼ぶようになったのは。」
懐かしいなぁ、俺の呼び方を矯正するって言って「友達におばさんって呼ばないでしょ」って何度言われたことか。
そのおかげで姫川家と俺の繋がりも切れなかったし、最終的にはヒナと付き合うことも出来た。
「そうなんだ……ひょっとしてむこうの私が初恋の人だったりして?」
冗談めかしてさちえさんが聞いてくる。ちょっと顔が赤くなってるけどストレッチが激しいかな?
「俺の初恋は陽菜ですよ。だからすごく今幸せです。いろいろあったけど初恋の人と一緒にいられるんですから。
あ、でも俺の精通ってさちえさんとお風呂に入った日の夜見たさちえさんの夢で夢精したんです」
いつもの調子で俺の精通の黒歴史をさちえさんに話す。むこうのさちえさんもうちの母親から聞いていた話だからどうってことないかと思ったんだけど。
「さちえさん大丈夫ですか?」
さちえさんが今まで見たことがないくらい真っ赤になってへたり込んで顔を両手で覆っている。
「きょ、恭介くん、エッチすぎるから……そんな赤裸々告白されちゃったらお
ん? えっと、お隣の女子高生が初めてあそこを濡らしたのが隣の幼馴染のお父さんのことを思ってだったって告白されたみたいなものか? しまった、久しぶりに元の世界の感覚でやり過ぎた。
「ゴメンなさい、さちえさん。今の話忘れてもらっていいですか? いや、忘れて下さい」
「もう……本当にこんな公共の場所でしていい話じゃないからね? 本当に陽菜ちゃんがいたらお説教ものだよ。今の話はこっちの世界では私と恭介くんだけの秘密! いいわね?」
そう言いながら小指を突き出してくるさちえさんは本当にブルマが似合う女子高生みたいで……不覚にも胸がときめいてしまった。むこうの世界のさちえさんとよくしていた指切りをこっちの世界のさちえさんと初めてした。
そんなことがあってから復路を走りトータルで5キロほどランニングをして帰ってくると玄関で陽菜が冬眠明けのクマみたいにウロウロしながら待っていた。流石に俺が走っている間に目が覚めたのか陽菜もシャワーも浴びてちゃんと夏服に着替えていた。
「恭介くん、お母さんと一緒に出掛けるならちゃんと私に直接言い残してから出かけて!
もう、お母さんは今日こそ許さないんだから」
陽菜はそういうとさちえさんを引っ張ってリビングに正座させていた。
ゲラゲラ後ろで笑っていたみおが見せてくれたさちえさんの書き置きはこんな感じだった。
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陽菜ちゃんへ
恭介くんに
お
お母さんより
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うん、ゴメン陽菜。さちえさんを信じた俺がバカだった。
「ねぇ、陽菜ちゃん? パパと別れたら恭介くんと
「もうお母さんは! 今日という今日は本当に怒っちゃうんだから! パパのこと大好きなくせにそんなことばっかり言ってると後悔することになっちゃうんだからね」
「う~ん、でも恭介くんならそれ以上に幸せにしてくれそうだし……ねぇ、恭介くん?」
「恭介くん? 何があったのかちゃんと話しなさい。なんでお母さんがこんなになっちゃってるの? 恭介くんもお説教だから! お母さんと一緒にいるときは絶対にスマホを持ってGPSもオンにしておくこと!」
こっちを向いているひなの後ろでさちえさんが唇の前で指一本立ててナイショってアピールしてくる。う~ん、可愛いけど不倫も離婚も家庭不和もダメですよ。
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閑話です。ちょっと深刻? な中でもさちえさんが出てくると力が抜けますね。
毎日更新もあと1日。
次回更新は明日8月25日18時です。
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