第241話 何故かひよりちゃんが怯えちゃっている(陽菜視点)

 前回のお泊り会はしずくちゃんのスタイルの良さに圧倒されたけど、今日はひよりちゃんのスレンダーで筋肉質な体に見惚れている。

 私のの体と違って無駄なお肉が全然ないのだ。

 おっぱいは全然ないけどまるでモデルさんみたいに綺麗な体。おっぱいの先っぽというには平坦だけどちょっと盛り上がった先に可愛いピンク色が女の子を主張している。


 しずくちゃんと比べたらちょっと下の毛が多いけど、つるつるの私よりもずっと羨ましい。

 つるつるよりももじゃもじゃの方がいいよね! だってつるつるはどうにもできないけどもじゃもじゃは剃ったりしたら整えられるもん。

 あ、ひよりちゃんがそこまでもじゃもじゃだって言ってるんじゃないよ。整えてないだけで。


 ひよりちゃんは私の胸の傷に関して正面から受け止めてくれた。

「それが陽菜ちゃんが手術した時の傷なんだ。頑張ったんだな」

 それがひよりちゃんの感想。ずっとこの傷を人に見せるのが怖かったのに他の人はあんまり気にしないでくれるのが分かった。


 これだったら恭介くんに見られても平気なのかな。

 しずくちゃんの同人誌を言い訳にしてるしそれも本当だけど、この傷も私が恭介君とエッチできないでいる理由の一つだ。

 傷を見てどう思われるか分からないのが怖い。恭介くんには綺麗な私だけを見て欲しい。


 それにおっぱいを見れるのもちょっとだけぷにぷにのお腹を見られるのも恥ずかしい。お腹は本当にちょっとぷにぷになだけだよ……うう……

 今ぽっこりしてるのは誕生日祝いで夕食とケーキとババロアを食べすぎちゃっただけなんだから……本当だもん。


 掛かり湯をして二人で湯船に浸かり、ちょっと温まった後でひよりちゃんの髪を洗ってあげる。

 ひよりちゃんの髪の毛はとても綺麗だ。今日は午前中は剣道部の部活があったとかで汗をかいたから髪を洗いたいということで私がシャンプーをしている。


 シャカシャカシャカシャカ


「お客さん、かゆいところはないですか?」

 背中側から座っているひよりちゃんの髪の毛を洗うのが楽しくなってきてた私はひよりちゃんに聞いてみる。

「ああ、いい感じだぞ。陽菜ちゃんの指遣いは本当に優しいな」

「そう、そうだったら嬉しいな」

 ひょっとしたら恭介くんも髪の毛を洗ってあげたら喜んでくれるのかな? って、恭介くんとお風呂なんてエッチすぎるよ。

 考えてみたらなんで腋毛を剃るなんて平気で(でもないけど)出来たんだろう。


「ああ、やっぱりはいいな。うちの道場のお風呂にもが付けられないものだろうか」

「へぇ……ひよりちゃんのお家ってシャワーがないんだ、これだけ長いと髪の毛を洗う時大変だよね?」

「ああ、ほんとうに。があればあの剣道大会の夜も恭介に髪に湯をかけて貰う必要がなかったんだがな、って!? イタタタタぁ」

 ひよりちゃんの口から聞いたこともない悲鳴がしている。気付くとひよりちゃんの髪をギュって掴むように引っ張っちゃってた!?

 あの剣道大会で苦痛の中でも一言も悲鳴を漏らさなかったひよりちゃんが悲鳴を上げている。


「ご、ゴメンなさいひよりちゃん。でもでも、恭介くんに髪にお湯をかけて貰ったってどういうこと? そういえばあの剣道大会の夜、恭介くんって終電に乗るほど帰りが遅くなっていたよね?」

 少し力を抜いたけどまだひよりちゃんの髪の毛はギュって握ったまま。これは脅迫などではない。繰り返す、これは脅迫などではない。


 さっきまでお風呂に浸かって血色がよかったはずのひよりちゃんの顔がちょっと蒼白になっている。

 あれ? ひよりちゃんはそんな顔をするほど悪いことをしたのかな?

 って言うのは冗談だけど、何がどうなっていたのかはしっかり聞きたいところ。

 とにかく今のままじゃすっぽんぽんだから風邪を引いたらいけないし、ちゃんとお風呂を済ませてから尋問しよう。

 みんなで尋問タイムだ!


 髪を流した後でひよりちゃんともう一回湯船に浸かる。

 お話は後でって伝えてニコニコしてるのに何故かひよりちゃんが怯えちゃっている。あんなに強いのにおかしいね。


 お風呂からあがってひよりちゃんと私が着替え終わると私の部屋に全員集合、一度帰った後だけどとりあえず恭介くんを電話で呼び出す。

 何か気配を察知しているのか「はい、はい! すぐに行きます」と私に対してやたら返事がいい恭介くん。


 お風呂上がりの皆の格好は私とまるちゃんはパジャマ、ひよりちゃんが浴衣、しずくちゃんが透けてないネグリジェ、ここまでは許容範囲。みおちゃんが今日はピンクのベビードールだった……これはアウト。

 仕方ないので私のパジャマを貸して着てもらう。

「ちょ、ひなちゃんこれ胸のところが余り過ぎてて心が折れる! お腹の所とお尻も余ってるのにタッパが足りなくて7分丈みたいになっているし!?」

 みおちゃんの抗議は聞かない。とにかく恭介くんを呼んで状況確認するのだ。


 コンコンッ

「えっと……入って大丈夫?」

 恐る恐る恭介くんが入ってくる。この対応は満点。いつもみんながエッチな格好をしているときに限って入ってくる印象があるが私の彼氏は(一応)常識人なのだ。

 その恭介くんがひよりちゃんとお風呂に入っているなんて……


「えっと、みんなの前でひよりが一人で正座させられてるなんて初めて見るレアな光景なんだけど……」

 そうだね、SSRぐらいレアな光景だね。

「恭介くんも被告席だからひよりちゃんの隣に座ってもらえますか」

「はい、恭介さん。クッションをどうぞ」

 ひよりちゃんもちゃんとクッションに座っているが恭介くんにもきちんとクッションを勧めてあげるしずくちゃんは流石だ。


「恭介くんは何で呼ばれたのか分かっていますか?」

 私の敬語を聞いて恭介くんが青い顔をしてブルブル首を振っている。なんでそんなに怖がってるのかな?

「剣道大会の日、恭介くんがひよりちゃんと一緒にお風呂に入ったって聞いたんですが事実でしょうか?」

 私が敬語で質問すると恭介くんがバッとひよりちゃんの方を見てひよりちゃんが「すまない恭介」と目で伝えている。うん、語るまでもなく真実のようですね。


「しかも、恭介くんは上半身裸でひよりちゃんは全裸、二人で抱き合った。これらの出来事は全て事実でしょうか?」

 恭介くんが諦めたようにうなだれて答える。

「はい、真実です……剣道大会で汗まみれのひよりの髪の毛を洗うのを手伝って背中を洗ってあげてその後、一緒に湯船に浸かりました。

 湯船の中でひよりと話をしてその中で俺の気持ちを伝えて俺に振られる形になって泣いたひよりを抱きしめて慰めました」


 ふぅ……ため息がでる。


 うん、恭介くんはやっぱり恭介くんだ。


 ここに恭介くんを呼ぶ前にひよりちゃんに事情は全部聞いたのだ。ちょっと寝ぼけるとふわっとしちゃうひよりちゃんが恭介くんにワガママを言って恭介くんはひよりちゃんのワガママを聞いてくれただけで何も悪くないと告白された。

 そして自分ひよりちゃんはフラれたのだと。


 恭介くんはこういう時に一言も言い訳をしない。間違いなく恭介くんはその時自分に出来るベストを尽くしているから言い訳しないのだ。

「うん、怒ってるわけじゃないから。それにその時点では私と付き合ってたわけじゃないんだし、でもこれからは私の彼氏なんだから他の女の子とお風呂に入ったりしちゃダメだよ」


 恭介くんとひよりちゃんがコクコクと何度も何度も首を縦に振っている。

 なんだろう、お風呂に入った事より、さっきのアイコンタクトとかこの仲の良さの方に危機感を感じるよ。

 -----------------------------------------------

 前話に関して女の子相手にコブラツイストはやり過ぎとコメントで指摘され反省。

 みおちゃんへのお仕置に恭介が使いそう、シャレで済みそうなお仕置を募集します。

 コメント欄に書いていただいたら採用率がかなり高いので是非お仕置のアイディアをみどりのに教えてください。


 週四日の18時に最新話公開中

 次回更新は明日8月7日です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る