最終話 一緒に幸せになろうね、恭介くん(陽菜視点)

 結局そのまま一日中恭介くんといろんなことを話して体育祭の振り替え休日が終わった。

 えっ? エッチなことはしてないよ……何回かキスはしてくれたけど。エッチなことはまだ早いと思うって伝えたら恭介くんは分かってくれたから。


 恭介くんとそばにいる間、ドアの外でなんだかそわそわしている気配がしたからドアをいきなり開けてみたら、聴診器を持ったお母さんがいたりした。

 あとお母さんが2回ほどジュースをお盆にのせて部屋に突撃してきた。

 私と恭介くんは本当にエッチなことをしてなかったし、ベッドの上で横になって向かいあってお話したり、クッションの上に恭介くんが座って私のことを後ろから抱っこしてくれてその状態でお話してたからお母さんが来ても平気だった。


 私の部屋は今まで鍵がついてなかったから今度恭介くんが鍵付きのドアノブと交換してくれることになった。

 え、エッチなことをしてる時にお母さんが入って来たら大変だもんね。

 あの恭ちゃん幼馴染が成長してエッチなことをするようになってるのが想像以上にドキドキしちゃうよ。


 お話していてちょっとショックだったのが恭介くん私の好きな人がもうエッチなことを経験しちゃっていたってこと。

 向こうの世界の入れ替わった私ヒナちゃんとエッチしたってことだからそれは浮気とかダメだとか言うつもりはないけど。ちょっとショックだった。

 向こうの私ヒナちゃん恭ちゃん幼馴染以外を好きになって他の人とエッチしたっていうのが私には信じられないけど……それNTRは二人で時間をかけて乗り越えていかなくちゃいけないことかもしれない。

 でも恭ちゃんであり恭介くんである私の恋人と一緒ならどんなことでも乗り越えていけると思う。だって世界を越えて再会できた二人恋人同士なんだから。



 翌日、いつものように一緒に学校に向かうけど本当はいつもとはちょっと違う。

 二人で恭介くんと手を繋いで歩いているのだ。

 恋人のフリをしていた時はおっぱいを押し付けるみたいに恭介くんの腕に抱きついていただろうって? ムリムリムリムリ! 今の私にはそんなの絶対無理だった。

 こうして手を繋いでいるだけでも心臓がドキドキして破裂しそう。貰い物の心臓だけど本当に元気な私の心臓に感謝だ。元の私の心臓だったら破裂してると思う。


 なんで恋人のフリ恋人モードの頃はあんな凄いことが出来ていたんだろう? あの頃の私すごい! う~ん、乗り越えなくちゃいけない「私」が多すぎて前途多難だ……一番の強敵は元の世界にいた私ヒナちゃんなんだろうけど。恭介くんの隣に今いるのは陽菜なんだから絶対に一番になるんだから。


 私と恭介くんが手を繋いだまま教室に入ると、ざわついていたクラスのみんなが一瞬で静かになった。

 そうだよね。「みんなの恭介くん10か条」があるんだもんね。


「あ~! 師匠がきょーちんと手を繋いで登校してきたんだよ」

 まるちゃんが騒いでいる。なので私は恭介くんを引っ張って教室の前の教壇の上に立つ。

 恭介くんも私の考えていることを理解してくれたのか手を繋いだまま一緒にみんなに向き合う。


 しずくちゃんもひよりちゃんもみおちゃんもまるちゃんも、みんなこっちを見ている。野田さんたち宿泊研修で仲良くなった子も、ゆうきくんも私たちの繋いだ手に注目している。

 二人で声をそろえる。

「「俺たち(私たち)恋人同士になったから」」

「「「「「「「「ええ~!?」」」」」」」」

「ということは恭介さんから陽菜ちゃんに告白したってことよね? だったらクラスのみんなは二人の成就した恋を祝福しないとね」

 みんながびっくりしているところにしずくちゃんが拍手しながら言ってくれる。こっそり私へのウィンク付き。

 教室内がなんとなく雰囲気に流されてパチパチと拍手が始まる。良かった。しずくちゃんの作った第10条のおかげで思ったより混乱なく私と恭介くんが恋人になることを認めてもらえそう。


「付き合い始めたんだ……まああーしも告白は時間の問題かなとは思っていたけど。

 ……ところで陽菜っちってもう恭っちとエッチしたの? 上手だった?」

 近付いてきたみおちゃんが途中から私の耳元で囁く。みおちゃんはすぐにエッチなことを言う。

「まだだよ、エッチはまだ私たちには早いから」

 コソコソ話なんだと思ったから小声で答えたらみおちゃんがにっこり笑う。みおちゃんがみんなに聞こえるように大声でいう。


「やっぱり童貞は処女には荷が重いから恭っちのことはあーしが一肌脱ぐしかないよね」

 その発言を聞いた瞬間、ひよりちゃんとまるちゃんが両側からみおちゃんの腕を掴んで身動きできないようにして私に向かって頷く。

 ええっ!? 確かに今私は教壇に立っていてみおちゃんとの身長差はちょうど無くなっている状態だけど私がやらなくちゃいけないの?

 ううっ……こういうの慣れてないからちょっと怖いなぁ。


 えいっ! ゴチンッ!


 結構大きな音がして目の前に星が飛ぶ! みおちゃんの額にぶっつけたオデコが痛い。みおちゃんと二人で額を押さえてうずくまっている私を恭介くんが困ったような顔をして撫でている。女には負けられない戦いがあるんだよ。よく分からないけど。


「イテテテテっ、まあとにかくおめでとう陽菜っち。困ったことがあったらいつでもあーしに相談しなよ、経験者だからさ。

 あと恭っちもこれからもよろしくね。私がなって欲しいのは恋人じゃなくてご主人様だから。私のことはペットにしてくれればいいからさ」

「恭介、いつになったら私の分の精液を準備できそうなのか早めに教えてくれ。もちろん陽菜ちゃんが納得してくれてからでいいからな」

「師匠ときょーちんが付き合ってもまるは何も変わらないから」

「なんか姫川さんに遠慮しなきゃいけないみたいなことを皆言ってるけど、ボクは男子だから関係ないよね。きょーすけ、今日も水泳部で頑張ろうね」

「あ~、この流れだと私だけいい子ぶるのもちょっと……だからこれからもよろしくね恭介さん」


 みんなが私の恋人恭介くんに口々に好き放題言ってくる。もう、みんな勝手なんだから!

「きょっ」

「「「「「「「「きょ?」」」」」」」」

「恭介くんは私の恋人なんだから、誰にも渡さないんだから~!!!」

 私は本気なのにみんなの笑顔がはじけている。納得いかない、納得いかないけどなんだか幸せだからいいか。私も一緒に笑ってしまう。


 私と恭介くんの騒々しくて楽しい日々はこれからもずっと続いていく。

 一緒に幸せになろうね、恭介くん。







 姫川陽菜の物語……Happy End


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 237話、32万字と長く続いた「幼馴染を寝取られたが貞操逆転世界でハーレムを作って幸せになりたいと思う」の姫川陽菜の物語の最終回となります。

 毎日3話更新、日によっては5話更新という形で2か月ちょっとで最終回を迎えることが出来ました。一日も休まずに更新できたのはちょっとした自慢です。

 ここまで物語にお付き合いいただいてありがとうございます。もしあなたが楽しんでここまで読んでくれたのでしたら作者としてはそれが一番嬉しいです。


 回収していないあれやこれやがあって気になっている方もおられると思いますが、本日5回目の更新が18時にありますので、そちらのもよろしければご覧ください。


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