第194話 ギャルメイクでも隠せないぐらい寝不足
陽菜との楽しい部活を終えて二人で家に帰る。
マネージャーの陽菜はそれはかいがいしく、泳ぎ終わた俺をプールサイドで待っていてタオルを渡してくれたり、喉が渇いたなって思う絶妙のタイミングでドリンクを渡してくれる。
この辺りの呼吸は幼馴染だからこそって感じだけど本当は幼馴染じゃないからちょっと不思議な気分でくすぐったい。
それはそれとして家に帰った俺はスマホでZOOMを使って藤岡と委員長と打ち合わせをした。
「イケんじゃね? あーし明日の放課後なら協力できるよ。ちょっと今夜中に台本書いてコンテ切っとくわ」
「ちょっと不安ですけどそういうことなら協力します。よその会社の絡むことなのでちょっとだけ時間をください」
それぞれ藤岡からも委員長からも了承を得られた。明日の放課後は部活を休んで藤岡のマンションのスタジオに行くことになる。
委員長の方も夕方7時という時間での打ち合わせだったにも関わらず、翌日には回答が得られて根回しが済んでいた。流石有能! ひょっとして琴乃
俺の方も夜のうちにさちえさんから必要なものを借りて準備を済ませた。
翌朝、陽菜と一緒に恋人ムーブしながら登校する。
いつもながらこの時間が一番幸せで辛い。陽菜が今までで一番そばにいてくれるのが幸せだが、偽物の恋人というのが耐えがたい。
早くこの状況を終わらせて陽菜に憂いなく告白できるようにしないと。自分でも頭が固いとは思うけどやっぱり本物の恋人同士になってからキスしたい。
学校につくとギャルメイクでも隠せないぐらい寝不足の藤岡が机に突っ伏して眠っていた。
ちなみにそこ俺の机なんだけど。仕方なく背中をゆすって起こす。
「ん、ああ……恭介……おはよう」
ヘニャッとしたやたらと幼い感じのする笑顔で笑いかけてくる。それに俺のことを「恭介」って?
「あ、あああ、あ、うん。恭っちオスオス~」
急に取り乱したようになって恭っち呼びに戻る。さてはこのギャル根っこの部分はそこまでギャルじゃないな。ちょっとからかってやろう。
「昨日はありがとう。俺が遅くまで眠らせてあげられなかったせいで……一緒に保健室に行ってやろうか? 俺保健委員だし」
頭をポンポンと二回たたいた後で耳元で囁く。まだちょっと起ききれていなかった藤岡がボンっと耳まで赤くなる。
「ちょっ! 恭っちからかうなし。童貞のくせに生意気」
「はぁ、なんちゃってギャルにベッドの上でも負ける気なんて……」
言いかけたところで陽菜がぎゅぅって俺の腕に抱きついて宣言する。
「恭介くんは私の恋人だからみおちゃん相手でもイチャイチャしちゃダメッ!」
おお、流石は陽菜、迫真の演技だ。恋人だったらこんな時にどうするかが完全にシミュレートできてるぞ! あれだけ苦手だった演技をたった数日でここまで上達させるとは陽菜には女優の才能もあるかも。夢はアカデミー女優賞だ!(←幼馴染バカ)
「これ、絵コンテまで出来たよ! 恭っちは出演シーンがあるから休み時間にでもしっかり目を通しておいて。しずくの方も準備できてるって」
藤岡から数ページの絵コンテと脚本を渡される。
これを使って動画をバズらせて学校の噂を爆風消火するぞ!
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※爆風消火とは爆弾を破裂させてその爆風で火を消す消火方法。
広範囲で燃え続ける油田など爆弾で爆発させて酸素を吹き飛ばすと言われたり衝撃波で火炎を吹き飛ばすと言われている。
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