第175話 新年度のクラスが貼り出されていた
「きょーすけ、おはよう」
「おはようゆうき。筋肉痛は少しはましになったか?」
「う~、まだ全身痛いよ。きょーすけったら容赦ないんだから、僕まだ慣れてないのにあんなに激しくヤラれちゃったら足腰がガクガクになっちゃうよ」
水泳部の部活で春休み後半はゆうきのことをかなり
元の世界でのゴリマッチョの村上は正直言って俺の最大のライバルで親友だった。水泳に関しては1年にも関わらず二人で部のトップ争いをしていた。元強豪だが最近はあんまりレベルが高くなかったうちの水泳部では1年生なのに県体出場、メドレーリレーの4人の選手のうちの2人に選ばれていた。
ゆうきも同じ遺伝子を持っているはずなのに全く別人で、泳いだ後に足がプルプルしているのでマッサージしてやったら筋肉が全然感じられないくらい柔らかくてプニプニだった。
夏の大会までに鍛えたいけどちょっと無理かも。ゆうき自身は水泳競技本番の夏よりも水着撮影会を楽しみにしているくらいだし。
ふぅ……こればっかりは本人にヤル気が出るまで見守るしかない。水泳のタイムが伸び始めたら楽しくなってくるかもしれないし。
俺の方はやっぱり昔よりだいぶタイムが落ちている。
ゆかり先輩からは泳ぎ始めたばかりとは思えないと言って貰えたが、実際には(中身は)経験者だし。まあ、股関節の硬さや背筋の不足など問題点は見えているので少しずつ改善していこう。
ゆうきと会って水泳部のことを考えていたら校門までたどり着く。
校門には
「おはよう、ひより」
「おはよう、恭介。それにみんなもおはよう、お前たちは服装の乱れはないよう……みおちゃ……いや、藤岡みおこっちにこい!」
新年度早々の服装チェックに藤岡が引っ掛かったようだ。始業式前だからなぁ。
あれ? 今「みおちゃん」って言いかけてなかったか?
「陽菜ちゃん良かったな」
藤岡を捕まえた小烏が陽菜に向かって微笑みかけて親指を立ててサムズアップして見せた後で指を全部立てて手のひらをみせる。パー? 5ってことか?
それに小烏と陽菜の間の空気も変わってる?
その言葉を聞いて陽菜が小走りに駆け出す。掲示板の前に人だかりが出来ていて新年度のクラスが貼り出されていた。
駆け寄る陽菜を追いかけて他の皆も小走りでついていく。
掲示板にたどり着いた陽菜が最初から2年5組のクラス表を見つめている。
真剣なまなざしの後、陽菜の顔が輝いた。満面の笑み。振り返る。
「恭介くん、みんな。今年一年間よろしくね」
「陽菜ちゃん、文化祭も宿泊研修も体育祭も一緒だね。今年もよろしく」
「うん、しずくちゃんありがとう」
陽菜と委員長が抱き合って喜んでいる。
あれ? なんかすごく仲良くなってない?
心温まる光景なので素直に喜ばしいと思うけどね。委員長に嫉妬してモヤモヤなんてしてないから勘違いしないでよね。
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