第166話 ブーメラン水着は身が引き締まる
今の男子水泳部は先輩たちの世代が少ない上にいても幽霊部員って状況らしいので、俺とゆうき以外はプール開きなのに出てきていなかった。
なので俺とゆうきの二人で部室兼更衣室を使うことになる。
ゆうきのやつはぱっと見は女子にしか見えないし、すごく可愛いから男子だとちょっと気をつかうかもな。
俺は
「きょ、きょーすけ? そんなにじっと見られてたら着替えにくいよ」
首のところで大きなラップタオルというんだろうか、巻きタオルを巻いて一生懸命着替えているゆうきが面白くて思わずまじまじと眺めていたら恥ずかしがられてしまった。
ちらっと見えた水着はフィットネスタイプの水着でゆうきは全身がプニプニだからお肉を押さえて水の抵抗を減らすための全身水着を選んだってわけだ。
男同士なんだから恥ずかしがることなんて何もないのに。と言いつつ流石に俺もふりチンで着替えるわけではなく、今日はちゃんとズボンの下に水着を着てきたのだ。
当然お約束の替えのパンツを忘れるなんてミスもしてないぜ!
スポポポーンと制服の上下を脱ぎ去り、水着一丁へ。やっぱりブーメラン水着は身が引き締まる思いがする。
試合の時は水の抵抗を少しでも抑えるために太ももまであるスパッツタイプのスイムウェアを使うが、俺は練習の時にはもっぱらブーメラン水着を愛用している。
ももの可動域が広くて疲れにくいので沢山泳いで練習できるのだ。
元の世界のゴリマッチョもそうだったなぁ。アイツの場合はあちこちの毛がはみ出しまくっててブーメラン水着は犯罪的だったが。
「ちょ、ちょっと待って!?きょーすけ? その格好で外に出るつもりなの?」
後ろでゆうきの焦った声がするが今の俺を止めることはできない。待ちに待ったプールが待っているのだ。
薄暗い更衣室から屋外プールの光の下へ飛び出した。
その瞬間、プールサイドとフェンスの外から「「「「「「「「キャーーーーーー」」」」」」」」と多くの悲鳴のような声が重なり合って上がった。
結構離れた距離にいるはずなのに藤岡のカメラのシャッターが今まで聞いたこともないほど高速で切られるシャッター音を発している。
いったい何が起こっているんだろう。キョロキョロ見渡すと鼻を押さえて四つん這いになっているゆかり部長がいた。
ゆかり部長は金髪ショートの巨乳で女子水泳部の部長だけど、男子水泳部の三年生の先輩方がいない場合は俺とゆうきの二年に上がったばかりコンビはゆかり部長の指示に従うことになっている。
騒ぎの元凶だと思われる倒れてしまったゆかり部長の下に急ぐ。四つん這いのゆかり部長の巨乳が重力に惹かれて競泳水着の上からでもおっぱいの谷間が見えて凄いことになっている。
眼福だが今はこの騒ぎを収めるのが先決と思いゆかり先輩の下に向かう。
俺が近づいてきたのに気付いて上を見上げたゆかり部長の視線が俺の股間に突き刺さる。そんなエッチな目で見ないで欲しいなぁと思った瞬間、ゆかり部長の押さえていた鼻から血が噴水のように噴き出した。
ゆかり部長が血の海に沈む。「エロすぎる……」とつぶやきながら鼻血で「天国」と書き記そうとしているゆかり部長!? ダイイングメッセージ?
「きょーすけ、何やってるの? 露出狂なの?」
慌てて走ってきたゆうきにタオルで巻かれるようにして抱きつかれた。
たった3分間の惨劇だった。
-----------------------------------------------
本日1日3話公開
毎日朝6時と昼12時夕方18時に最新話公開中
楽しんでいただけたなら作品の評価で☆をいただけると嬉しいです
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます