第158話 全部変わったメニューの食卓もイヤだ(陽菜視点)
大騒ぎしている間にあっという間に夕方になったのでみんなでお料理を始めることにする。
うちのたいして大きくないキッチンに4人も人がいるのは新鮮だ。
お弁当組の3人とお母さんで4人。戦力外を自認するみおちゃんはケーキを買ってきていて、まるちゃんは夜用にスナック菓子を買ってきてくれていた。
どこから手に入れたのかうなぎパイがあったが「夜みんなで食べるお菓子を買ってきて」ってしずくちゃんから頼まれたから「夜のお菓子」のうなぎパイを買って来たらしい。本当に可愛いなぁ。
みんな手際よく調理を進めているが、私は自分の部屋に案内したみおちゃんとまるちゃんが何をしているのかが気になって仕方ない。
探されて困るようなもの(日記やおちんちん写真)は事前に隠しているが、今ごろ私の部屋から恭介くんの部屋を隠し撮りするカメラとか仕掛けてるんじゃないかと思うと気が気じゃない。
ちなみに恭介くんに「今日はカーテンを閉めて」っていう意味不明で頭がおかしいメッセージを送ってしまった。「?」「 OK」という二つのスタンプが送られてきている。
わけわからないよね、ゴメンね恭介くん。
しずくちゃんがフライパンで表面を焼いたジビエの鹿肉のブロックを65℃のお湯を作って湯煎している。鹿のローストを作るらしい。
二人の作っているお料理が特殊すぎて私が用意していている新玉ねぎのスープとサラダが当たり前すぎてどうなんだろうと思うけど、全部変わったメニューの食卓もイヤだなと思い直して普通の料理にいそしむ。
お母さんは私たち三人のフォローとご飯を炊いたり準備をしてくれているので凄くやりやすい。
友達がいるってイイなぁって思う。恭介くんと再会してから楽しいことばかりだ。心の中で感謝しておく。ありがとう恭介くん。
と恭介くんのことを思い浮かべたタイミングでドタドタドタドタっとみおちゃんとまるちゃんが駆け下りてくる。
「「恭っち・きょーちん 帰ってきた」」
どうやら恭介くんが帰って来たらしい。料理が一段落したので5人全員が二階に上がることになる。
二階に上がると部屋の窓から離れたところに大きな三脚が立っていてびっくりするくらい大きなレンズ(バズーカーみたいだった)がついたカメラが置いてあって黒い布で後ろに隠れられるようになっていた。
窓の方には小さなカメラが窓からギリギリ覗くようにセットされていて恭介くんの部屋を完全に録画している。
恭介くんの部屋を皆で眺めていると恭介くんがドアを開けて部屋に入ってきた。みんな慌てて窓枠に身を隠してそーっと目を出して恭介くんの部屋を見ている。
私はこの部屋にいてもおかしくないのでいつものように部屋の中に普通に立ってるけど、みおちゃんはレンズを使って覗くための潜望鏡のような屈折スコープで全く自分の姿は見られないようにスネークしていた。
恭介くんが部屋からこちらの方を見て私を見つけて手を振ってくれる。嬉しくなってこっちも手を振る。みんなの視線が恭介くんに集中してる隙に口で「カーテン」と口パクしながらカーテンの方を指さす。
アイコンタクトと身振り手振りで伝わってくれたのか、まだ暗くなっていないのにカーテンをシャッと閉めてくれて私はちょっとだけホッとした。少し寂しいけどやっぱり隠し撮りは良くない。
うん、隠し撮りじゃなければ問題なかったのに、これはだから独占欲とかじゃないからね。
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7/8,9は1日5話特別公開
6,9,12,15,18時の1日5話更新となります
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