第102話 なんだかお姫様みたいな気分(陽菜視点)

 うう……どうして恭介くんとご飯を食べてると食べさせ合いっこになっちゃうんだろう。

 前は学校の中庭のベンチだったから誰にも見られていなかったけど、今日は沢山の人の目の前であ~んってされちゃったし、あ~んもしちゃった。


 私も楽しくてノリノリで食べさせちゃたし……皆に注目されてることに気付いたときは恥ずかしくて真っ赤になっちゃった。


 今日は恭介くんのお買い物の付き合いということもあって恭介くんが全額出そうとするので、半分こにして貰った。


 そもそもこの世界貞操逆転世界では男性に気持ちよくデートして貰ってその後も女性が付き合って貰う立場ということから女性がお財布を出すことが多いのだそうだ。

 今みたいなギャルになる前の中学生の頃の藤岡さんはよく大人向けの女性情報誌を読んでいた。

 男の人に対する憧れが強くてその……エッチするための女性情報誌を一生懸命読んでいたのだ。

「いかにして男子にモテるか」「男子とのデートの掟10ケ条」「Road to SEX」「男子を悦ばすベッドテク」などという記事を読んでは給食の時間に班の皆に発表してくれた。


 私は好きな人もいないし男子からは怖がられてるからデートすることなんてないしどうでもいいやと思いながら聞き流していたが、岩清水さんは興味がないふりをしながらめちゃくちゃ食いついていた。


 その中では「男子にお財布を出させるのはNG、ホテル代も絶対に女が出すべき」「デートで割り勘を言い出す女は嫌われる。SEXまでは全部女が持って男を気持ちよく帰らせろ」といったことが書いてあった。


 そう考えるとせっかくのデートなのに男子の恭介くんに全額出させちゃうのはいけないのかなって思ったのはあった。

 でもそれがなくても半額出したらその分お金が浮くから、恭介くんがまたお出かけするときに誘ってもらえるかもっていう下心もあった。


 その後、自転車屋さんに行ったりゲームセンターに行ったりしたけど、全然エスコートできなくて落ち込んだ。UFOキャッチャーは女の子が取ってあげて男の子にプレゼントして喜ばせるものらしいのに全然取れなくて小学生以下だった。


 ゲームのゾンビと銃で戦ったけど、私はゾンビがこの世界に溢れたらあんまり頑張れそうにない。

 そもそも免疫抑制剤を飲み続けないと心臓の拒絶反応で生きていられないから世界が大混乱したらその時点で危なそうだけど。


 遠くのゾンビをえいえいって撃つのはちょっとだけ面白かったけどここでも恭介くんを守る逞しさを見せることは出来なくて守って貰ってばかりで情けなかった。

 でも情けない私でも守ってくれる恭介くんは凄くカッコよかった。

 私が頭を抱えてしゃがんでると私に向かってくるゾンビを恭介くんがどんどん撃ち倒す。

 なんだかお姫様みたいな気分になれるから私はこのゲームが気に入っちゃった。

 また恭介くんと遊びたいな。

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 6/24,25は1日5話特別公開

 6,9,12,15,18時の1日5話更新となります

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