第65話 小烏さんってお料理上手なんだね

 陽菜がアワアワしながら岩清水の口を封じようと机を乗り出して口を塞いでいる。


 机の上に乗ったおっぱいが陽菜の体重で潰れて凄いことになっているうえ、上半身が全部机に乗っているので陽菜のスカートが短かったらパンツまで見えそうだった。

 陽菜のスカートは多分学校でも長い側から数えた方が早いくらい長いので中身は見えなかったけど。


「むぐ~ふぐぐ~」とりあえず笑いながら口を押さえられている岩清水を尻目に藤岡が話し出す。

「ヒナのやつは昔はこっちにいる恭っちのおちんちんにイタズラしたり、写真撮りまくったりしてたからあーしらの間じゃエロ師匠って呼んでたんだよ。

 中学生の間にそういう子供っぽい遊びは卒業して大人の階段上っちゃって今みたいに落ち着いたわけだけど」


 見ると藤岡はホットドッグのウインナーだけ分解して先に取り出してと食べている。変わった食べ方だが大食い大会にでも出るつもりで練習でもしてるのか?

 ちょっとエロいけど見ていてやたら痛そうだから止めて欲しい。


 陽菜が真っ赤な顔をして藤岡を恨めしそうに見ているが、この辺の話は全て入院中に岩清水から聞いて俺は知ってしまっている。

 それにしても陽菜はどんな顔してても可愛い。


「なるほど、人に歴史ありなのだな。私も姫川のことをこれからはエロ師匠と呼んだ方がいいのか?」と真面目な顔で小烏こがらすが聞いた瞬間、

「エロ師匠絶対禁止~~!!!!!ダメ絶対!!!!」という陽菜の絶叫が1年5組に響き渡った。


 陽菜の大声の後でどうにか落ち着きを取り戻した机の上で残り二人のお弁当を開く。

 体の弱かった陽菜があんなに大きな声を出せるようになったことに胸がいっぱいだ。でもお弁当は食べる。


 小烏こがらすのお弁当は思いっきりがっつりしたものが入っていて、お弁当なのにウナギやスッポン、牡蠣フライなどが入っていて、サラダもおくらやアボカドなどあまり普通のお弁当っぽくないものだった。


「昨日家に帰って自分なりにいろいろと調べてみたのだ。昨日の朝はああは クスリを使って子種だけと言ったがやはり私も女だから努力だけはしてみたい」

 真っ赤な顔をして差し出されたお弁当箱は本当に精力が付きそうな食材で溢れていた。

 陽菜は無邪気に「わ~、凄い豪勢。小烏こがらすさんってお料理上手なんだね」と褒めている。

 エロ師匠陽菜ならこの食材の意味と目的が分かるんじゃないかと思うんだけど……このくらいの食事よりももっと上の食材とか知ってるのかな?


「じゃあ最後は私だね……なんだか普通過ぎて恥ずかしいけど」

 そう言って差し出された岩清水のお弁当は本当に普通だった。小さなお弁当箱にサラダとミートボール、卵焼きとご飯が入っていて、俺の好きなノリたまがかけられている。


「おお、美味しそうだ」絶対にオチ要員だと思っていたのでびっくりするほど普通のお弁当箱を差し出されて俺のツッコミの形に作った手は行き場を無くしてしまった。


 褒められて嬉しそうにはにかむ委員長の顔が意外なほど可愛くてドキッとした。

 -----------------------------------------------

 本日1日3話公開

 毎日朝6時と昼12時夕方18時に最新話公開中

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る