第22話 天然だから狙ってやってるんじゃない
とにかく事故でもタオルコキされて抜かれてしまったのは事実なので、あさかさんは俺と会うといつもどこかぎこちなくて顔が赤いし、俺の方も必要以上に意識してしまう。
あれは事故であって浮気じゃないからと誰に対してか言い訳してる自分にもちょっと不思議な気分になる。溜まっていたから仕方ない。生理現象なのだ。
それからはどうにか自己処理していたが、そこでスマホで調べてこの世界のエロ本事情を知ったりしたのだ。ちなみに病院内で処理するための場所探しにはめちゃくちゃ苦労した。
女子高生が気軽にどこでも自慰にふけられるのは元の世界のエロマンガの中くらいである。同じように貞操逆転世界の男子高生も苦労するのだ。
閑話休題
そんなあさかさんと病室で二人っきり。ちょっと気まずい。
「もうすぐ退院なんだね。恭介くんがいなくなると寂しくなるなぁ」
あさかさんが言ってくれる。この人に関しては性欲はあるんだろうけどそれ以上に真面目で優しくて本心から言ってくれてるのが伝わってきて安心できる。
お見舞いに来るクラスの女子と下ネタも含むバカ話しているのも楽しいがこういう誠実な大人の女性に優しくされると男なら好きにならずにいられないと思う。
……と、ここまで思考を進めてこれって元いた世界で優しくて頼れる大人の制服お兄さんに憧れる女子高生の気持ちとシンクロしてるんじゃないかと思った。
あさかさんは天然だから狙ってやってるんじゃないだろうけど、俺のことをエッチな男の子だと思ってるんだろうなって思うと、今さらながら顔が赤くなるのを止められなかった。
俺が顔を真っ赤にしてるのを見てあさかさんの挙動がさらにおかしくなる。チラチラと俺の下半身に目線がいっている気がする。
このままだと不味いので素数を数えて意識と下半身の血液をそらそうと思うが、2,3,5,7,11……と数えるがあっという間に頭がピンクになってフットーしそうになる。
「大丈夫? 恭介君♡」
あさかさんがぺろりと妖艶に自分の唇を舐める。アハハ……唇が乾燥したんだよね?
「本当にして欲しいことないの?」 あさかさんが一歩詰め寄る。ヤバッ。逃げ損ねた?
「まっるがあっそびに来ったぞ~」
ガラガラガラ~
いつものようにノックもせずにアホの子が病室の扉を開けて俺の貞操は守られた。
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