温かな水

月瀬澪

1.温かな水

整然とした都会の中

彷徨う 風の辿り着く場所

未だ見えぬ夢 求める人々が佇む


温かな安らぎ

支えるモノ信じて

ゆっくり

歩を進める


道筋に並べられし

たくさんの笑顔 泣き顔

求めていた 出会いと別れ

大切な贈り物

いつかわたし自身も大切にされるかな?

そう 信じている


遠くに見えた街に浮かびし

影を生んだ錆びた空

どこか物憂げで

私は少しだけほっとする

やがて辿り着いた道の上

振り返り手にしたモノ


ぬくもりのある灯



片付けられた部屋の隅

迷い込み 座り込んだ居場所

かつて捨て去りし 別れた人々が肩を抱く


温かなひと時

与えるモノ探して

ゆっくり

顔を上げる


目の前に並べられし

たくさんの微笑み 涙

忘れていた 出会いと別れ

大切に抱きしめる

いつかわたし自身も抱きしめられるかな?

そう 信じている


かすかに動いた鼓動を胸に

私が生まれた狭い部屋

少し薄暗くて

影を少しだけ長くする

やがて夜が明けた空の下

見上げては目に焼きついた


ぬくもりのある灯



あふれては 消える

消えては 流れ出す

温かな水 飲み干す

温かな血 駆けめぐる



かすかに動いた鼓動を糧に

私が見つけ出したモノ

少し切なくて

少し甘い香り

空の中溶け込んでは

目に焼きついた


ぬくもりのある灯



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