第6話 ブレーカ
依然交戦中、怪獣ラジアルの向きを変えるフィールドにより、白き無敵の天使も今までの無双っぷりは鳴りを潜めていた。
キィィィィィ────────ッ!!
鋼の天使は超高速で移動しながら左手で構えた銃を怪獣に向けて連射、案の定跳ね返される。
跳ね返った弾はかくぅうん! という不思議な音を立てながら放った主を追尾する。エネルギー弾はとんでもない速さで天使に反逆を開始、追いかけっことなる。しかし天使の主である、
『やはり急にバカになったのでしょうか?』
指令室の女性幹部は少し呆れたように言う。
『こればかりはいくらあれでも……』
男性士官も唸る。
『…………。』
てを顎に当てて何が起きているのかを司令官は考えていた……しかし、その結論が出るよりも答えは発表された。
「あいつは45度でしか反射できないんだ、一定の速度で旋回を繰り返していけば、その死角に潜り続ける事もできるはず。そして、これは賭けだが!」
かくぅうん! …………かくぅうん! ………………かくぅうん!
「やっぱり!! 全自動に制御なんてできないよなっ! 処理が遅くなってやがる。」
キィィッ!! キィィッっっ!!!!
大胆にアクロバティックに機体を動かしカニのような相手の脳ミソに確実にダメージを与えていく。
そして、
かくぅう………………宇宙に向けて光は飛び去る。
「処理落ちッ!!! 食らいやがれカニミソが! ソードッ!」
掛け声と共に刀身が変形、ワニのように一点を軸に開くと…、一瞬にして蒼い輝きは収束する!!
「パニ────────ッシュ!!!」
ダガーのようにそこまで長くは無いと思われていた剣、"ヒューズ"の刀身は、エネルギーを放出し一本の大剣へと成り上がる!!
300m上空まで飛び上がっていた天使の騎士は、その差を優に越す500mの光の柱で、届くまいと休みかけていた怪獣を兜割りの如く真っ二つに焼き切り払ったのだった。
『なるほど……のびるのねそれ』
さすがの司令官も結局、その規格外に少しばかり呆れてしまっていたが、ひとつ深呼吸すると……、
『撤収!! ほら呼びかけて!』
『あっ、すみません。総員撤収! ミッション終了!』
{{おつかれさま~! どうだったかな魔法の剣は!}}
「今回は割と役に立ったよ、ありがとう」
{{さて、帰ったら話があるよ? 大丈夫、お叱りとかじゃないよ。ただ…大切な話さ、心して待っていたまえ}}
────司令室会議
『このように粒子の入手が完了し、黙々と今も研究が進んでおります…が、』
『やはり何かあるようだね』
司令官はゆっくり腕を組む
『はい……分かったことから申し上げますと、あれは正の電子を持つ、つまり陽電子と反中性子の反クォーク、そして陰の電荷を持つ陽子を含んだ反物質…に近いモノであるとの事です。そして、厄介なのが反物質のようなモノは現在の日本の技術では閉じ込めるので精いっぱいで…。そこから先の研究はかなりスローペースとなっております』
なんだか申し訳なさそうに情報部の男は言った。気にする素振りも見せずに司令官は
『とりあえずそうやすやすと手に負えるモノではないな…よし、次回からは本格的に私たちから仕掛けよう』
『つまりそういうことで?』
女性幹部は含みを持たせてそう聞くと、この部屋の長はハンカチで額の汗を拭うと一呼吸入れ言い放つ。
『あぁ、始めよう。愚かながら天界への宣戦布告だ』
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