CHARGE ALIVE
のつなよ.exe
第1話 レクティファイヤ
それは、2XXX年。
東京、
ギャオオオォォォォ────ッ!!
荒廃し、回帰しつつある自然を再びぶち壊したような景観のそこで、地を割るかのような雄叫びが上がる。
『日本本土、行政都、Ward,24にて正体不明の莫大な振動を確認ッ! 』
『コードB発動します!』
喧騒渦巻く
コードBと呼ばれた未知への脅威に対応する為に産まれた特別司令は、すぐ様に日本中を駆け巡り───
バララララララララ…
キィィーン!!
ごぉぉぉぉぉぉぉ
陸海空の鍛え上げられた有志達と
『目標、生きています。まるで…怪獣、怪獣です!』
『推定50mクラスとの計算結果が出ております』
『まさかこんな事が本当に起こるとは思わなかったが…現時点は訓練通り速やかな対応だ、勿論まだ仕掛けるな、あちらから動くまで待て、最善としては奴がそのまま海へと去る事だ』
前線では独特な緊張感が自衛官達を襲う。
『依然動きません…何かトリガーでもあるのでしょうか』
連絡室へと仮設基地から伝えられる。
『そちらについても調べてみよう、情報感謝する…さて、呼称をこれよりアンペルとする、伝えておけ、わかりやすいだろう』
『了解です、目標をこれよりアンペルと呼称、目標をこれよりアンペルと呼称!』
数十分の沈黙、と遂に動く。
『アンペル、移動を開始! 侵攻経路には市レベルの街が有ります!』
『どうせ動けば街に当たるのだ、やむを得ん、迎撃開始!』
『了解! 迎撃開始!』
どひゅうっ! どひゅぅうん!!
ガコッ、がががががががが!!!
ばぐっ!! ばぐん!!!
幾千、幾万の弾幕がゆっくり歩みを進める怪獣に飛びかかる。
が、しかし…
『多少の傷は与えられました…が相手からすればほんのかすり傷です。肉に届くまでには武器が尽きてしまう予測も…』
『ええい…トライ&トライだ! 攻撃を緩めるな! 結局は奇跡に頼るしかない! できる限り同じ部位に火力を集中させろ』
『了解です』
「随分、手こずってるみたいだ」
{{ジジー…まあ余裕でしょ、ザジ功するわよ…あ、通信そろそジジジわり…。ハイロゥの出力上げザザ…って、おーばー♪ 帰ってこれたらあんたの首筋に…ザアアア}}
「チップ埋めこむ…かな? 作戦行動に移る」
白き巨人、いやその様は天使、頭頂高20m程の巨躯が、まるで重力なぞ無いかのように(実際消失している)、縛られる事無く、成層圏をマッハ3で突き進む。
そして、急降下。
『高高度より飛来する物体あり!』
『新手か!?』
『謎の飛来物から文字データを受信しました!』
『読み上げろ!!』
『3秒後に怪獣は攻撃を行う。離れられるだけ退避せよ』
『3秒後だと! やれ! 退避だ』
『そ、総員退避───ッ!!』
迷いのない指令、迷いのない退避行動。3秒後…ではなく4秒後に怪獣は咆哮を上げると全身を発光。開いた鱗の隙間から多量のニトログリセリンとトリニトロベンゼンの混合液を噴き出し着火!
ごぉぉぉぉっ!!!
幾多もの飛行兵器が爆風で大きくバランスを崩すが、足場たる空から滑り
『被害ゼロ!』
『余裕付きで言った…でいいのか? いや、そのアポなしメールの送り主を探せ!』
『それは!』
キィィィィィィ────────ンッ!!
がっごぉぉぉん!!!
その時、怪獣は大きくよろけた。
今まで大したダメージを受け付けなかったその巨神が、遂に無様によろけた!
そして二種の爆薬で発生した爆煙を切るように…
ずざざざざざぁ……
キュコーンッ!
甲高い音を立て金色の瞳を輝かせる大天使、
目の前に現れたその天使は、その場に居る彼以外全ての思考を鈍らせた。一番初めに本能だけで理解した怪獣は直ぐにそれに牙をむいた。
50m越えの巨体を振り回し、勢いよく地を抉り、駆ける。
対する天使は青白い光を機体各部から噴出したと思えば、それを腕に纏う。
「パニッシュッ!!!」
主の声に応じたか、天使は加速。二秒でマッハ2に到達するとソニックブームと共に怪獣を一直線に殴り飛ばした。
刹那、脊椎が粉々に砕け散った怪獣はそのまま動かなくなり、表面から灰のブロックのようになって崩れ、ボロボロと
『なにが…』
『不明飛来物はそのままシグナルロスト…追跡できない様にか、酷い妨害がなされています』
『そうか…締まらないが、これで切り上げる! 撤退だ』
そうして日本に訪れた脅威は想定の何倍も早く、新たな脅威なりえるモノの手によりあっさりと収まった。
とあるどこかの山奥で、
ふいぃぃぃぃん……。
ばしゅん!
「おかえりおかえり〜! じゃあ頭にICチップ埋め込むよ〜♪」
と白衣を着込みゴーグルを頭に付けた割と長身のマッドサイエンティストがそんな事を言いながら迎えに出る。
白い天使はそれを踏まないように慎重に歩いて専用のハンガーに背中を接続…直ぐにバケットロボが人で言う
「当たりかよ…それは勘弁だっ」
そう言った。
「えぇ〜」
とリアクションが返ってくる。
さて、降り立ったそこは、無機質なコンクリートと細長いLED灯が規則正しく並べられた体育館の様に高い天井、そして様々な特殊機構を積んだチューンマシン達が忙『せわ』しなく働いている…自動で避けるので、それらのロボ達を気にせず真っ直ぐ歩いた。
「次須田クンさ〜もっと愛想良くさ〜」
次須田…
「その愛想良くってなんだよ…まぁともかく、成功だ今回は。」
苦笑気味に言うと共に、今回の成果を報告した。
「データは取れたからね…満足よ」
「はいはい…とありがとう」
マシンが一滴も零さず運んで来たコーヒーを受け取る。ベートーヴェンが飲んだコーヒーと同じ製法で作られた
そうだった…コーヒーの話ではない。
ここは、この場所は…
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