君のことを可愛いと思ってしまった

@Yoakira

第1話


「ー…ん……んん……ハァ……イキ……そ……」

「えー…まじ?」

 危ねぇ。包丁落とすとこだったじゃん。


 てか、そもそも、だ。


 何でこうなった?

 リビングのソファーで下半身を露わにして男のあれを自慰行為。それを何故に今、俺が見なきゃいけないんだ?


 人の家に勝手にあがった俺が悪い事ぐらいはわかる。が。

 せめて、自分の部屋でしろよとか、どうでももいい事を考えてしまう事は、一旦、置いとこう。


 いや、ほんとなぜに?

 俺は、殺しに来たはずだ。


 名前はアラタ。以前は声優をして、シチュボやasmr。中性ボイスを生かしたY○u T○be稼ぎもしてた。登録者数10万人超え。


 人生順調に進んでた。たが、突然。大手事務所の社長が女絡みのイザコザで、無実の罪をその辺にいた俺になすりつけてきた。そして、誰も言い分を聞いてくれずに俺は失職。

 もうどうでも良くなって。結果、復讐。俺を追い込んだ社長の家に行き、殺害をもくろんだ。

 そして、リビングの扉を開けて今に至るー…。


 タイミング、だよな。

 殺すタイミング。そう、紛れもなく俺が入るタイミングを間違えたから。そのせいで、きっとこんな状況になったんだ。そうに違いない……にしても。

 ありえねぇだろ。





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