O'z-rootP-

プロローグ

青く透き通った空、囁くように優しく吹く風。

特殊な人々が住む特殊な国、「only zone」通称「O'z」は今日も平和と嘘に包まれている。

数百年前、ある日突然不思議な力を持った人間が産まれた。その者の力は「不死身」。人間が憧れ、欲する、邪悪で絶望と希望に満ち溢れた力。そんな力を持つ人間が誕生した。その後も次々と不思議な力を持つ人間が産まれ続けた。いつしか「不死身」の力を持つ「人間」は「神」と呼ばれる存在になり、人々から崇められ頼られてきた。

俺が住んでいるこの国、「O'z」はその「神様」が作り上げた国だ。国、といってもO'zの周りには国が存在しない。この国が世界全てなのだ。

俺たちはこの世界しか知らない。知る余地もない。

優しい「嘘」に包まれた俺らは、未知なる世界を知ることが出来ない。

それは果たして幸せなのだろうか…？

俺はそうは思わない。思えない。

俺は周りの事を知っても良いはずだ。

なのにどうして「人」は、「神」は嘘をつくのだろう？

俺は、嘘が嫌いだ。