ナインキング

阿保踊

プロローグ

『いいか魁斗かいと、この世には悪魔って存在がいるんだ。基本悪さしかしない奴らなんだが、中には人の味方になったりと、面白い奴らなんだぞ。』

『ちょっとアナタ、また魁斗に変なこと教えないで。』

『変なこととは酷いな。ね〜魁斗〜。』

『うん!パパのおはなしおもしろい!』

『はぁ、男の趣味ってよく分からないわね。』

『特に俺が好きなのは……………』


「ッ!ハァ、ハァ、ハァ、」


ピピピ…ピピピ…ピピピ…

昔の夢を見た。

家族3人で、仲良く話してた時の記憶。

夢のせいか、首や背中にかけて汗がすごい。


「今何時だ?」


am10:15

サークルの待ち合わせ時間は10:30。

ここから大学までの距離、バイクで20分。


「…遅刻じゃねぇか!」


ベットから飛び出し、急いで支度をする。

朝飯を食べる時間はないので、机の上に重なっているカロリーメイトと水、飲みかけのスポドリをカバンに突っ込む。

寝癖はスプレーでなんとかする。

歯磨きをしながら着替える。

支度を済ますと、玄関に向かい靴を履く。

そして、靴棚の上に置いてある写真立てを直す。


「行ってきます!」


写真の中には、笑顔の夫婦がいた。

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