転生したらガチャを背負って戦うことになった件 ~ランダムスキルは伸びしろ半端ない不遇者をチート化~

うんこ

第1話 ガチャで最初に引いたのは美少女精霊で大当たり!

「ここは一体?」


 目が覚めた俺は、辺りを見渡した。

 森の中だ。


「えっと、確か……」


 そうだ。

 確か、好きな女の子を助けようとして、トラックにはねられて……


 死んだ?


 そうとしか思えない。

 傷一つしていないこの身体。

 そして……


「え?」


 俺は背中に違和感を感じ、手をそっと後ろに回した。

 硬くて、つるつるしている。

 もう少し下に手をやると、レバーの様なものが付いていた。


「俺、死んでまさか、機械にされた?」


 まさか?

 俺の死体を回収したマッドな博士が、俺を殺人マシーン時変えたとか?


「鏡は?」


 俺は慌てた。

 背中から機械が生えているなんて、ヤバすぎる。


「お、あそこに泉があるぞ」


 俺は、泉に自分の姿を映した。


「あ……これって」


 ガチャだ。

 ガチャマシーンだ。


 縦長のアクリルで出来た四角形。

 赤い土台には銀色のレバーが付いている。

 そしてそのレバーの真下に排出口。

 アクリルで透けて見える中身には、丸いボールのようなものがたくさん詰まっていた。


「やべぇ、俺、転生してガチャマシーンになっている」


 俺はどうしていいか分からなかった。


 普通、スキルとかもらえるだろ。

 索敵スキルとか、翻訳スキルとか、炎魔法がやたら強力とか。

 幸運がステ振りとかでもいいよ。

 ガチャって何だよ。

 どう戦えって言うんだよ。


「グルルル……」


 そうしてあたふたしてると、定番の唸り声。


 茂みの奥からガサゴソと、ゴブリン登場!


「やべー! もうかよ!」


 ゴブリンは棍棒を振り回しながら、こっちにやって来る。


ドスン!


 振り下ろされる棍棒。

 俺は寸でのところで飛び退きそれを避けることが出来た。


「ウガアアアア!」


 その回避行動に腹を立てたゴブリンは、俺に飛び掛かって来た。

 それを俺は何とか逃げるように交わす。

 ゴブリンと俺の追いかけっこ。

 だんだん疲れて来た。


 やびー!

 追い着かれる。


「くそっ! 何でもいい! 武器を出してくれ!」


 俺は後ろ手に祈る気持ちでガチャのレバーを回した。


 排出口からごろりと出て来たカプセル。


 まじでガチャのそれだ。

 それを目の前に持って来て、いつもの要領で、ぱかっと開けてみた。


「おお!」


 中には小さな精霊のフィギュア。


「かわいい~。……って、これで戦えるか!」


 俺はフィギュアを投げ捨てた。


 すると……


「いったーい! 何するんですかー!」


ドッカーん!


 爆発音とともにゴブリンの断末魔がこだました。


 振り返ると、羽の生えた女の子が立っていた。


「私はガチャの精霊フェリアス! あなた、私を最初に引くなんて幸運ね!」

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