ep26 戦場と能力
あの後、試験が始まった。 5分間の間この建物の中ならどこでも行ってもいいとの事だったので俺は礼尾と小豆と逃げていた。 無駄な戦闘はしないようにしたかった。 簡単に割られて点数を失いたくないからだ。 その意思は2人も同じようだ。
「藍斗、こっち隠れられそうだぞ 」
「あぁ、小豆着いてこれてるか? 」
振り向くと小豆は手をグッと前に突き出し、ウインクをする。
時々だが、爆発音や謎の揺れが建物を襲っていたりした。 咲夜は平気だろうか、雪和や実夕は迷っていないだろうか。 健太郎は…… きっと平気だろう。
「僕のこと置いてくなんて非道いじゃないかぁ! 」
横からいきなり現れる健太郎。 くねくねと体をうならせながら走っている。
「いやぁああ!お化けええ! 」
小豆は礼尾の背中にしがみつく。 健太郎はあっという顔をしてその場に立ち止まる。
「誰だテメェ?あぁん? 」
「ヒエッ 」
健太郎の顔がサーっと青ざめていく。 あんなに人の顔って青ざめるのか……
「こいつは同じ寮のやつだ、多分敵では無い 」
でもちょっと距離置いちゃう。
「なんで距離を置くんだいっ?! 」
悲しそうな顔をして突っ込んでくる。
「それより、いつ不良と仲良く…… 」
健太郎はガクガクと震えていた。 礼尾の顔を見るとものすごい形相だった。 めっちゃ怖い。
「わ、悪いやつじゃないから…… 」
あぁん?と睨みをきかている。 怒ってる気がする……
「怒ってねぇよ? 」
俺の表情を見て察したのか、笑って見せようとする。 より怖くなった。
その時だった。
健太郎の体が火に包まれる。 健太郎の体が陽炎のように揺らめいて消えていった。
「おっと、まさかの
奥から白い髪のショートの男が歩いてくる。 手には黒い皮の手袋を穿いている。 防炎用だろうか。
「
礼尾がボソリと呟く。 燃焼系、炎を操る一番カッコイイと思っているタイプだ。 火の玉だったり、床を燃やしたりそういうやつだ。 厨二病心をくすぐられる。
「悪いが、俺は1位を狙っているんだ。 犠牲なってくれよ……!! 」
そう言った瞬間俺たちの周りを囲むように炎が現れる。 その炎はだんだん近寄ってくる。 力自体はそんなに大きくは無いが、風船を割るには十分だ。
俺は能力を使おうと手に力場を作る。 だがその必要はなく。 炎は白い煙となって消えた。
「はぁ、はぁ、ウチと能力の相性はええねん…… 」
後ろを見ると小豆が両手を前に突き出している。 そのまわりには水の玉がふよふよと浮いている。
「ちっ、
男は一目散に逃げていった。 逃がすわけが無い。 俺は手に貯めていた風を男に向かって放つ。 男には当てないように上手く調整した。 その結果、見事風船だけ割ることが出来た。
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