ep15 影投影と精神崩壊
彼は数分くらいずっとヘッドホンに手を当て、目を閉じていた。 そしてゆっくり目を開けると怪訝そうな顔をし、ヘッドホンを肩に下ろす。
「見つけたけど…… つんつん頭の数が多すぎて、なんかこう一人特定できる特徴とかない? 」
「特徴…… あ、アイツの能力は
「それが分かれば簡単 」
そう言うと彼はまたヘッドホンをして、目を瞑る。 前回と違って今回は早く目を開けた。
「一階リビング冷蔵庫横に体育座りしてる 」
「了解だ!ありがとう! 」
俺は階段を駆け下りてリビング(以下略)に走っていった。 そしてドアを開けると冷蔵庫の横に仁王立ちしているつんつん頭が立っていた。
「よく来たな! だがここから先は俺が相手だ! 」
「ラスボスみたいなセリフ言ってるが最初からお前が目的だぁぁ! 」
俺は縄をくるくると回しひょいと投げる。 しかし、つんつん頭はひょいとそれをしゃがみ避ける。 その瞬間つんつん頭があらゆるところに出現し、どれが本物かわからなくなってしまった。
「くっ、小賢しい真似を…… 」
「ハハハ探してみろ! 」
大量発生したつんつん頭が同じ動きをし、同じことを喋る。 ちょっと気持ち悪い。
「簡単ですよ、同じこと繰り返すだけです 」
いきなり横から水があらゆるつんつん頭に降り注ぐ。 横を見ると水鉄砲を構えた雪和がいた。 しかし、影投影が解除されることはなかった。
「な、なんで……? 」
「ハハハ!なんでだろうな! 」
つんつん頭達がタップダンスを始める。 カコンカコン朝からうるさい。 その時、ふと後ろに気配を感じて後ろを振り向く。 ものすごい形相の咲夜が立っていた。
まずい、これは。 寝起きが悪い咲夜は自分で決めた以外の時間に起こされるとブチギレる。 そして彼女がキッとつんつん頭を睨むといきなりつんつん頭の顔色が悪くなり床に膝をつく。
「うっさいのよ、何が探してみろよ。 脳波も隠せやしないくせにイキるんじゃないわよ 」
気づくと彼の能力は無くなり、たった一人になっていた。 俺はそのつんつん頭を紐で縛り、柱にくくりつけておいた。 咲夜はテーブルにおいてあるコーヒーカップをとり、キッチンのカウンターのようなところにおいてあるコーヒーメーカーからコーヒーを注ぐ。
柱からかすれた声が聞こえた。
「君の友達…… 恐ろしいね 」
「あぁ、オレもやらかしたことあるからわかる 」
ちょっとだけ同情した。 彼女の能力、
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