孤児院
第1話
「それで、今回の損失はどれくらいだ?」
「人員の損失は3人の死者と1人の精神異常者が出たのみです。
物品の損失は軍からの支給より少なかったんですが、分解されたローパーの部品が少し足りませんね」
とある建物のとある部屋、
「アイシャはどうしている。
目は覚めたか?」
「一応目は覚めていますが、他の子との関係はうまく行ってないですね。
常識が違うのでうまく馴染めていないみたいです」
2人で部屋の窓から外を見る。
窓からはこの建物の横の広場で子どもたちと、作戦に参加した部下が楽しく遊んでいる様子が見える。
ここは彼らが運営する孤児院だ。
傭兵業の中で出合った孤児たちを拾い、世話をしていくうちに他の傭兵団から金と一緒に孤児を渡されたり、建物の前に子供を置いて行かれたりして、今では50人ほどの世話をしている。
子どもたちと地域の清掃や家事の手伝いをしたりして運営資金を確保しているが、少し前まではそれだけでは足りなかった。
今回の依頼は依頼主が思っていたよりもかなり良い結果を出せたようで、予定されていた報酬の他に、定期的な献金と子どもたちが成人した後の仕事の斡旋などもしてもらえるようになった。
「こんなんじゃ、孤児院傭兵団の名前は消えませんね」
ピロン♪
メールが届いたようだ。
「これは……あの狸親父からか」
_______
from : iareo-nas@……
to : you
今日のニュースは見てくれただろうか。
今回の事件はこのようにまとめることにした。
想定では「成果のない指揮官を1つ降格」にするつもりだったが、君たちがうまくやってくれたおかげで2つ降格させることができた。
そして、この件は国王陛下の耳にも入ったようで、君たちを国王直属の傭兵団にしたいそうだ。
我々としては傭兵の仕組みから逸脱するものであると理解しているものの、国王陛下の意向として無視ができない状況だ。
後日、詳しいことを話し合うために話し合いたい。
君たちに余裕がありそうな時期をこちらに伝えてほしい。
君たちが安心するなら何人でも連れてきてもいいが、10人ほどまでにしてもらえると助かる。
__________
「これ、どうする?」
院長は部下に画面を見せつつ尋ねる。
「とりあえずみんなで話し合いましょうか」
「出てる奴らは事前に意見を聞いておけばおくか」
孤児院は今日も平和だ。
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