第29話 『事情聴取』
ふみたいは、本庁での事情聴取に立ち会うことに同意した。
内部でどういう話があったのかは、知る由もないが。
早い話し、ぼくとプリンは、孤立無援ということである。
しかし、ボスは、それでよいと言う。
ここにきて、ぼくは、全てに疑問を感じたのだ。
『われわれ』の食べる側、食べられる側、地球にいる双方のスパイたち。さらに、地球人の政府、警察、すべてがぼくとプリンを食い物にしているのではないか?
いや、つまり、運勢とか、タイミングとか、確率とか、自然とか、そうしたものも、あらゆる全てが、意図的ではないにしても、ぼくに対して、また、プリンに対しても、無慈悲に働いていないか?
いやいや、プリンは、いっしょにしては、ならないのかもしれない。
ふみたいは、そんなバカみたいなぼくの考えは、とうに分かっているらしい。
そのうえで、こう言うのである。
『あなたは、人が良すぎる。相手を騙してでも、生き抜く覚悟をした方がいい。』
しかし、ぼくは、こう答えた。
『みんな、ぼくに騙されたと言うんですよ。もっとできるやつだと、思った。とか、期待はずれだった、とか。やらせるんじゃなかった、とか。きさまには、騙された、と。』
『その人たちは、勝手に騙されたのです。お互い様です。たまには、しくじることもある。政治家だって、しょっちゅうしくじってる。すべて、人のせいにする。考えてみても、ごらんなさい。あなた、そんな、高報酬をもらった? 地位を得られた? 違うでしょ。はした金で動いてる。いつも儲けて、得してるのは、あなたとは、違うひとでしょう? あなたは、生き方が、下手すぎる。』
『む。プライドの問題だよ。』
『ぶ😡 そんなもん、偉いひとだけで良いんだ。末端にプライド求めてどうする。じょうめさんとかは、たしかに、プライドが、必要だろうけどね。プライドもて、とか言うのは、上役の方便だ。』
『じゃ、ふみたいさんには、プライドは、ない?』
『ない。そんなもん。生きるために、働いているだけ。しくじったら、食えなくなるから、あらゆる作戦で、しくじらないように努力する。それだけ。』
『それって、プライドじゃないかい?』
『まさか。ふん😤』
ふみたいは、プライドなんて、頭から、ふみたいわけだ。
しかし、事の本質は、つまり、どうやらプリンにある。
そのプリン、105歳は、何を思うのかが、さっぱり分からない。
ぼくは、プリンに、事情の説明はきちんとした。
いつも、している。
だが、まともな反応はないのだ。
困ったことである。
いまは、まだ、アパートには、帰れないでいる。
☀️
とにかく、一週間後、ぼくと、プリン、さらに、ふみたいは、いっしょに、ふみたいの車で本庁に出向いたのである。
しかし、ぼくたちは、本庁には、到着しなかった。
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