第9話 殺人鬼たち
「嗚呼…興奮する…人を殺害したい……血が欲しい…嗚呼…動物や人間の臓器や血の滴る…血液の溢れ出たあの瞬間が…ぞくぞくする…血の中で……もっともっと…」
このような恐ろしい言葉を、なんの躊躇もなく吐ける人物は誰なのか?
す
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「人を殺すと、もっと殺したくなる」
斧とハンマーで次々と、67人を殺害した中国史上最悪の連続殺人鬼ヤン・シンハイの言葉だ。
【世界のシリアルキラー】ルイス・ガラビトは、「被害者数300人以上 20世紀最悪の連続殺人犯」と言われている。
1980年から1999年の間、彼は未成年者を拷問、レイプ、切断、そして殺害し続けた。
ガラビトが刑務所の中で描いた地図に記載されている遺骨の位置をもとにすれば、彼の手で殺害された犠牲者は300人を超える可能性がある。これは20世紀における連続殺人事件による被害者数でトップである。
それでは彼は何故、世紀の大殺人鬼になってしまったのか?
当然鬼畜の所業、同情の余地などあろう筈はないが、実は背景に目を向けて見ると、幼少期に受けた回りの環境や父親の度重なる虐待の数々が、ガラビトに大きな影を落としている。
不倫、酒浸り、マッチョな父は、非常に厳格で、よく肉体的、精神的に虐待をしていた。母親については、幼少期にほとんど愛情を感じさせてくれた事もなく、育児をしなかった暴力的な女性であったと述べている。
更に、夫婦喧嘩は日常茶飯事で、子供たちはろくに世話もされなかった。
6歳か7歳の頃から、父親の存在は暴力を振るう存在で、家族に度重なる暴力を振るっていた。暴力による恐怖から、子どもたちは仕事から帰ってくる父親の姿を見ては、たびたび隠れていた。
このような背景ではあったが、小学校低学年の頃は明るい人気者だったという。だが、次第にいじめの標的にされるようになる
ガラビトは、メガネと臆病な性格から「ガラバト」(「くねくね」の意)と仲間からからかわれ、やがて休み時間に一人で遊ぶことを好むようになり、劣等感が生まれた。頻繁に仲間はずれにされ、それは暴力的な衝突もあったが、教師は知っていながらいじめをやめさせようとはしなかった。
このことがガラビトを苦しめ、軽蔑的なろくな仕事にもありつけない父親への恨みと、安定した家庭の仲間への嫉妬を蓄積させた。
更に酷いことに、ガラビトは、性虐待の被害に遭っていた。近くのドラッグストアのオーナーと彼の父親の親しい人物から、肉体的、性的虐待を受け、ベッドに縛り付けられ、ろうそくで火傷を負わせられ、剃刀で裂かれ、陰部や臀部を噛まれていたと言う。
この虐待の最初の事件の後、ガラビトは欲求不満で2羽の鳥を殺し、解剖したとされており、その後すぐに後悔と恥を感じた。
だが、ガラビトの異常性は徐々に頭をもたげる。弟妹に、服を着ずに同じベッドで寝るように命令し始め、彼らが裸でベッドに横たわると、何度も性的にもてあそんだ。
このような背景から歪んだ性愛思考や精神崩壊が顕著に現れ出すようになる。
ガラビトの被害者は、年齢、性別、社会的地位によって明確に識別されていた。
ガラビトは6歳から16歳までのホームレス、農民、孤児の少年をターゲットにして恐ろしい行為にふけるようになる。ガラビートは、混雑した通りでも、田舎でも、少年たちに近づき、お金や飴、仕事などのささやかな贈り物でおびき寄せていた。
ガラビトは金に困っている子供たちに簡単な仕事を提供すると嘘をつき、神父、農民、ホームレス、露天商、麻薬の売人、老人、ギャンブラーなど、少年に合法的に仕事を与えてると言って。疑惑が広がらないように頻繁に変装をしていた。
いったん子どもの信頼を得たあとにガラビトは、子どもたちが疲れ果てるまで一緒に歩くことで抵抗しづらい状態にさせた。まず、彼らの手を拘束し、その後、彼らの服をすべて脱ぎ捨て、拷問、レイプ、そして時には首を切ることもあった。
少年たちには臀部を刺されたり、尖った物を肛門に挿入されたりして 長時間の強姦や拷問に耐えている形跡があった。
更には子供たちの遺体はすべて全裸で発見され、睾丸はしばしば切断され、口の中に入れられていた。すべての遺体には噛まれた跡や肛門を貫かれた形跡があった。そして、ほとんどの遺体には、長期にわたる拷問の痕跡が見られた。
まさに、人間の皮を被った悪魔、獣。
人間とは、必死に耐え忍び、それがいつしか計り知れない真逆の快楽に変わり、抑えていたタガが外れた先には、精神構造が乱れ崩壊し粉々に破壊された先に待っているのは、血も涙もない、只々快楽だけを追い求める悪魔になってしまうのか?
心が崩壊し、行き着く所まで行ってしまうと、一瞬にして人をあやめる殺人者の狂気の、もっと遥か先の到底どんな畜生も及ばない、厄介な事に他の動物にはない繊細で複雑な感情を待ち合わせた人間の行き着く先は、異常な快楽と欲望に突き進み、途方も付かない残虐性に辿り着いてしまうのだろうか……?
一瞬にして飛び付き食い殺し闇に葬り去る、巨大な怪獣や百獣の王ライオンの非ではない、残虐性に辿り着いてしまった異常な性愛思考者たち。
死ぬと感じ取り、抵抗する事も出来ず、もっとも残酷で怖い恐怖を味わいながら、衰弱と痛みに耐え死んで行った子供たちの事を思うと、言葉がない。
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第12手術室では、手術台の上に人間の体が蝶の羽のように切り開かれ、仰向けに横たわっている。
22口径の単発式ライフルが至近距離から額の真ん中へ発射され、銃弾は脳の両半球を貫通していた。 そうした損傷はほぼ間違いなく致命傷になるが、かろうじて心臓が動いていた。
中背の筋肉質の男の体が、喉元から股間までまっすぐに切り裂かれ、臓器を取り出しやすいように開創器で両側に開かれていた。 話し声はほとんど聞こえない。静寂の中に換気装置の空気を吐き出す音だけが絶え間なく続いていた。 男の首から上は垂直のカーテンに仕切られて、外科医たちからは見えないようになっていた。
粉々に撃ち抜かれた頭部は見るも無惨な状態だったので、それはむしろ幸いだった。 そうした損傷の場合は、ほぼ間違いなく致命傷になるが、たまに心臓が動き続けることもある。この男の場合がそうだった。
そこで、救急車に乗り込んでいた救急救命士は死にかけている男の気管に管を通し、呼吸を続けさせたのだった。
そういうわけで、男の体は地方の某病院の第12手術室に、蝶の羽のように切り開かれて横たわっていた。こうして心臓移植手術 が行われた。
むき出しになった人間の心臓が鼓動しているさまは、何とも形容し難い。一言で言ってしまえば、グロテスクで毒々しく気味が悪い。
脂肪の層で覆われ保護されているので、赤いというより黄色っぽい。大男の拳くらいの大きさしかないが、どんな手術よりも周りを圧倒する大変な手術、目を離すことができない。
遺体は解剖されて臓器が取り出され、臓器移植手術が行われた。
殺人鬼の精神構造は常人には理解できない。恐ろしい闇が広がっている。
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