元最強クラスの猫娘が過去に目覚める
ルティーヤ
第零章 プロローグ
最強VS最強
首都圏内は何事もないかのように崩壊はしてはいないが、首都圏から離れれば離れるほど焼け野原や瓦礫の山となっている。その光景は関東大震災や原爆投下された広島と長崎、はたまた東京大空襲のように近いくらい、いや確実にそれを彷彿とさせ、廃墟と化していた。一部を除いて。
「さて、関東の街から関西の街に行くか」
人間の身体に猫耳が付いている女性が出かけようとした時に誰かの声が遠くで聞こえてくるが、何を言っているか聞き取れない。しかし彼女にはしっかりと聞こえていた。
「ルーちゃん、今日も出張だからここの見張りよろしくね!」
そういうと、少しずつ影が近づいてようやく姿が見えるようになった。その姿は人間に尻尾と翼を生やしたドラゴンのような見た目をしていて見た目は小学四年生の女の子の小ささであった。彼女は伝えたいようだが、息が上がっていて中々喋れないようだ。
「遠征……前に今日も……ボクと戦ってほしいよ……」
はぁはぁと息をしながら、人間とドラゴンのハーフのような女の子がそういう。猫耳の女性はしょうがないなという顔をしながら呟く。
「無理はしないでくれよな? ステータス的にはルーちゃんが高いんだからさ。それに、うちが最強っていうのは能力面だけだからね?」
どうやら昨日も戦っていたらしく、猫耳の女性は心配しながら最強ではないことを伝えた。しかし、能力が最強らしい。一体どういうことなのだろうか。
「わかってるよ、でも昨日は負けたから」
そう言うと猫耳の女性の手を握って、どこかに連れていこうとしている。女の子の目は次は負けないよ!と訴えかけるように目を見つめた。それを察した女性は走り出した。しばらくすると訓練場のような広い広場のような場所に着いた。
「ルミエールさん、本気で来てね?」
「言われなくてもわかってるさ。アウストラリス」
ルミエールがそういうと無の空間から剣が現れて、構え始める。一方ルティーヤという女の子は脚の筋肉に力を溜めている。ルミエールの方も脚に力を溜めている。しばらく経ったら、二人とも地を強く蹴る。蹴られた地面はものすごい脚力でクレーターのように抉られて、人間の目には追いつかないほどのスピードで移動していた。
目に止まらぬ速さで移動したかと思えば、金属が激しくぶつかり合う音以上に轟音と衝撃波が辺りに伝わり中心からは大きな火花が綺麗に咲いていた。ルミエールは剣で、ルティーヤは尻尾で迫り合っていた。
「このスピードに追いつけるなんて動体視力もあげたな。だけど、これは序の口に過ぎないぜ」
そういうと、押して作用反作用の力を使って間合いを取る。剣は刃こぼれどころか全く傷一つついていなかった。ルティーヤの尻尾も切り傷何一つついていない。両者とも高度な戦いをしてきた様子が伺える。
「
叫び始めるとブレードが水色に輝き始め、もう一度構えて大きく三回振りかぶる。物凄い速さで衝撃波の刃みたいなものがルティーヤに迫る。それに対して、彼女は脚に力を溜めてルミエールと同様に叫ぶ。
「ドラゴンハーツ、セカンド!」
彼女の呼吸と鼓動が速く、血液の循環効率も上がる。そして、脚の筋肉に集中させて踏み込むと同時に地面が大きく凹み姿が消え、刃は当たることなく通り過ぎた。
ルミエールの背後を取り、蹴り技を仕掛けたが剣のブレードで受け流されて当たるまもなく地面に落ちる。その衝撃はクレーターができる程のパワーがあった。
「今のは〝アックススピン〟だな? 受け流して正解だったぜ」
ずっと一緒にいたのか、何を出そうとしていたのかすぐにわかった様子。ルティーヤは驚いた様子で少しの隙を作ってしまった。近距離戦に持ち込んでルミエールは腕を小さく引いて、筋肉を爆発させたような勢いで殴りかかる。が、まだ見えている様子で脚で上手く受け流し、尻尾で思いっきり振る。
まともに食らったルミエールは受け流しができずに吹き飛ばされる。肋骨に違和感を感じた様子で剣を使って地面に突き刺して摩擦の力で踏ん張った。彼女は少し笑っていた。
「ルミエールさん、やっぱり強いね。でもまだ隠してるでしょ?」
ルティーヤは少し本気を出していたが、薄々気づいていた。まだ本気を出していないことに。そして、空中に飛び始めて、次の技を仕掛けようとしたその時だった。視線を感じ、後ろを振り向くが既に遅かった。彼女が勢いよく蹴りを入れて、地面に勢いよく叩きつけられる。
「ルーちゃん、よく気づいたね。あと、肋骨折らせたのは褒めるけど相手からの視線を逸らしたらいけないぜ」
どうやら気づいてくれたのと当たらなかった攻撃がやっと当たって嬉しく笑っていたようだ。地面に叩き落とされたルティーヤの周りは砂埃が舞っていて視界がとても悪い。ぶわっと砂埃がなくなったと思えば彼女の姿はなかった。そして衝撃波の音が伝わったと思えば回り込まれていて、尻尾で攻撃しようとしていたため受け流しを試みたが彼女の方が速く当たる。
地面に叩き落とされたルミエールは砂埃の中へと隠れて、ルティーヤは嬉しそうに叫んだ。
「やった、ボクまた当てたよ! でもルミエールさん、大丈夫かな」
そう思った矢先に何かを感じて上を見た瞬間にものすごい勢いで槍が飛んできて、ギリギリのところで交わした。ルミエールはルティーヤより高い位置にいた。
「それはうちの分身体だぜ!
そう叫んだ瞬間に矢が飛んできて、避けきれずに頬を掠って切り傷ができる。視線はルミエールを捉えていたが剣で叩き落とすかのように振り下ろす。危ないと判断したルティーヤは尻尾を使って受け流し、その反動を利用してまた尻尾で攻撃。その後も激闘は収まることなく長期戦に持ち越された。
「今日はここまで、もうそろそろ行かないと」
既に時間はかなり経過していて夕方になっていた。お互いにボロボロで息も上がっている。水分補給した後に、ルミエールは少しの休憩だけで出発の準備をしていた。
そして、準備を終えたらこういう。
「ここの拠点の防衛を頼んだよ。帰るまでに一ヶ月くらいはかかるから待ってて。それじゃあ行ってくるよ」
目的地へ向かって歩き始める。ルティーヤは少し悔しいそうな顔をしているが、楽しく戦えたのか笑顔で姿が見えなくなるまで手を振り続けて見送った。
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