第24話 お前らの気持ちわかんねー
朝から裕翔は、心ここにあらず。
結構な大声で挨拶したのに、裕翔には届いていない。俺は裕翔の前に回り込み、
「こ・ん・に・ち・は」
もう一度、挨拶したら、ビクッとして俺のかおを見た。
「どした?お前、変だぞ。」
そう言うと、裕翔は暫く考えて、
「昨日から菜穂ちゃんからの返信がない。
今朝、やっと既読になったんだけど、返しはなくて心配してる。学校も休んでいるみたいだし…。」
え~マジで。それだけでこんな顔すんの?お前
、“仲間といるときは、そっち優先だから“
とか、いいながら、今までの彼女、既読無視とか平気でしてきたじゃん!
あの子の場合は、どんな理由かは知らんがあるだろ~普通に。
「待ってたら連絡あるんじゃね?」
俺にはそれ以外の言葉は探せなかった。
そんな会話をしていると、双葉が駆け込んできた。
「あの子から連絡あった?」
ゼーゼーしながら裕翔に聞く。裕翔は、首を横にふる。
何かな?双葉の回りが燃えているような、見えるはずのない怒りの炎が見えた気がした。
「さっき女子トイレで聞いたんだけど、昨日、心晴とあの子が理科準備室で逢い引きしてたって!」
俺と裕翔は目を大きくして驚く。
「“逢い引き“ってさ、古くない?古すぎて、意味が入らないんだけど…ただ、一緒にいたんだろ?」
俺は裕翔の顔色をチラチラ見ながら言った。
「あんたバカね。言葉の通り、逢い引きなの!心晴の女達が確認したら、心晴が認めたらしいし、ただ一緒だった訳じゃなくて、抱き合ってたところを、先生に見つかって、親を呼ばれたみたいよ。」
裕翔は双葉の方を見て、
「心晴が認めたって、なんていってんのアイツは?」
双葉は裕翔の怒りを抑えるようなこえを聞いて、ためらいながら、
「“あのこの事が好きになった“
みたいなこと言って、他の子達には、
“だから今日から、みんなとはもう関係ないから馴れ馴れしくしないでね“
って、キッパリ言われたみたいで、泣いちゃう子とかいたりして、心晴の女達はパニック状態よ!」
それを聞くと、裕翔はまた、あの子へメールをした。こんな時、こいつ何て言うんだろう?冷静ではいれないよな。こんなに顔色が変わるくらいすきなんだもんな。どうしてだよ裕翔。もっと周り見たらいるぜ。あの子よりずっと可愛くて、いい子。お前に夢中になってくれるような子。
双葉もスマホを出してメールをしている。
こう言ったことに第三者が関わって、何もいいことはないのにな…でも、双葉は険しい顔でメールを送信した。
「俺、アイツと話してくる。」
そう言って、裕翔は席を立った。
スタスタと教室を出て、心晴の教室を覗く、
「心晴は?」
出てきた女子に聞くと、
「三時間目まではいたんですけど、昼休み前には姿ないですね」
そう言って、嬉しそうな顔で裕翔を見た。裕翔と話せて嬉しいと思う女子は多い。なのに、なんであの子に拘るんたよ。親友の俺にも理解できないよ。
裕翔は心晴に電話するが、心晴のスマホは留守電に切り替わる。
どんどんと深刻な状況になっている。俺は・・・見守るしかできねーよ。だって、心晴もあの子の事も、理解できねーし。お前があの子にこだわる理由も意味不明な状況で横にいるんだから・・・。
俺ができることは、これ以上双葉が暴走しないよに、クールダウンさせる事くらいかな。
俺は裕翔から少しでも今の双葉を離そうとして、双葉の腕をつかむ。
そして部室へ行った。
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