つまらない話をしよう。

西順

つまらない話をしよう。

 つまらない話をしよう。


 現在の自分だ。スマホでラジオを聴きながら、駄文を打つ自分だ。


 つまらないのなら暇つぶしを探せば良いのに、それさえもする気力が湧かない。だからダラダラと駄文を打つ。これが暇つぶしか。


 自分は昔からこんな人間だった。


 やらなければならない事があるのに、それを棚上げして別の事に流れてしまう。流れ流され辿り着いたのが現在の自分だ。


 普通の人間ならば、勉強の途中で掃除を始めたり、仕事中にPCでSNSなんかに流れるのだろうが、自分クラスになると、まず家から出ない。仕事も勉強も放り出して、朝から布団に逃げ込む。鬱だから仕方ない。と言い訳をして、布団から出る事を拒否するのだが、不眠症なので布団から出ないだけで寝れる訳ではないのだ。


 何をする訳でもない。スマホをいじるだけだ。それさえ飽きて、スマホのラジオから聴こえてくる声で寂しさを紛らわせて、何もやる気が起きない事に耐える。


 暇に耐えて耐えて耐える日々を送ってきた。それは苦痛で、でも何かをやる気力は湧かなくて、スマホをいじっていても大概の事は終えてしまい、やる事がなくなる。そんな暇な日々は案外精神が疲弊するもので、何もしていない事が疲労になり、いつの間にか『疲れた』が心の中の口癖になっていた。


 そうして毎日『疲れた』『疲れた』『疲れた』と念仏のように呟いていると、『疲れた』事に疲れてしまい、体が動き出した。


 最初の一歩は重く、歩き出すには勇気が必要だ。続ける事も億劫だ。結局また、『疲れた』と心の中で呟くが、それも疲れるので、一歩踏み出しては立ち止まり、呼吸を整えまた一歩、立ち止まっては呼吸を整えまた一歩。最新の二足歩行ロボットよりも遅い歩みで、一歩一歩時を進める。


 躓いてばかりの生き方で、周りは歩調を合わせてくれる訳もなく、先へ先へと進んでいく。自分は一歩進むだけでもヒーヒー言っているのに、世界は自分を置いてきぼりにして進んでいくのだ。


『疲れた』と足を止めて、『疲れた』事に疲れてまた歩き出す。つまらないと暇つぶしを探して、それに飽きてまた暇をもてあそぶ。


 自分が、人が生きるに合わない生き方をしているのは理解しているが、こんなぐにゃぐにゃしているのに、これが自分の根幹なので変える事も出来ない。


 では駄文で暇つぶしをするのにも飽きたので、この話はここまで。

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