出逢い 3 スナック
私は41歳になりました。
私はこの頃、最愛の母を子宮がんで亡くしたため喪失うつになっていました。
毎日生きてゆくのがとても辛くてなりませんでした。
私は自殺願望がとても強かったのです。
母がいない人生など意味もないと感じていたのでした。
私はこの頃、スナックで夜のバイトをしていました。
慣れない夜のバイトでした。
母が余命いくばくもないと宣言されてから私は前職である某大手電機メーカーでの派遣の仕事を辞めていました。
母が残してくれた1000万の貯金を弟の真一と半分に分け、500万の貯金で生活していたのです。
そんなスナックでバイトをしていた頃でした。
藤堂春樹と出逢ったのです。
春樹は私が働いているスナックのお客さんでした。
初めて会ったときのことを鮮明に覚えています。
私が春樹の相手をしていた時です。
私はトイレに行きたくなりその場を離れ化粧室へと行きました。
化粧室で軽く化粧を直してトイレに入って出てこようとした時でした。
トイレのドアを開けると春樹が立っていたのです。
私はトイレから出られなくなりました。
その時でした。
いきなり春樹がキスをしてきたのです。
私は驚いたのと同時に体が震えるのを感じました。
初めて春樹と会った気がしなかったのです。
お互い初めて会った時から一目惚れだったのでした。
その出来事があってから春樹と私は付き合うようになりました。
私と春樹の相性はすべてにおいて最高のものでした。
春樹は毎日のように私の家に来ていました。
私の家から仕事などにも行っていたのです。
春樹と旅行などにもよく行きました。
でも、春樹とは主に飲み屋でのデートが多かったのです。
そんな春樹とも一時は1年も別れていた時期がありました。
しかし、1年間の空白は関係ありませんでした。
直ぐに元の関係に戻れたのです。
その時、私は春樹と自分は何か目に見えないものでつながっていると感じたのです。
そして10年の歳月が流れてゆきました。
私は10年も春樹と付き合うとは思っていませんでした。
10年も付き合っていてなぜ結婚しなかったのかと良く友人からも聞かれました。
正直、婚期を逃したのです。
その流れで、ずっと春樹とは一緒にいたのです。
春樹の存在は私の人生の一部の風景となりました。
春樹と一緒にいるのが当たり前でした。
春樹がいない人生は考えられませんでした。
私は春樹と一緒にいるとても穏やかさを感じていました。
穏やかに日々は過ぎてゆきました。
そんなある日の出来事です。
私と春樹は些細な事で喧嘩をしてしまったのです。
本当に些細な事でした。
私は春樹とその時、少し距離を置くことにしました。
そのことを話すと春樹はショックを受けた様でした。
私たちはお互い意地っ張りだったようです。
私は春樹に半年もの間連絡をしなかったのです。
その間に彼は病気で突然亡くなってしまいました。
私はそれを知った時、ものすごくショックを受けました。
そして、自分を責めたのです。
なぜ、あんなに意固地になったのか。
なぜ、春樹を許さなかったのか。
私は食事をするのも難しくなりました。
私は食べることができなくなったのです。
体重も10キロまで落ちて痩せてゆきました。
本当に心から後悔したのです。
こうして春樹とは永遠の別れをしてしまったのでした。
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