出逢い 1 教会

私は20歳の時からある教会に通っていました。

その教会はカトリックやプロテスタントなどに属さない教会でした。


その教会に同じく通っていたのが「岡本和也」でした。

私と和也は同じ年で同級生でした。


和也と出逢ったときは、彼はまだ大学生でした。

和也から声を掛けてきました。


「いつも会うよね。どこに住んでるの?」

「ここまで歩いて30分くらいかしら?」


私はそう答えました。

そうしてゆくうちに徐々に和也と仲良くなっていきました。


和也と初めて会ったとき、初めて会った気がしませんでした。

どこか遠い昔に会っていたような気がしたのです。


そうして、私と和也はすぐに恋に落ちました。

私は毎週日曜日が来るのを待ち遠しく感じるようになってゆきました。


和也は3人兄妹の長男でした。

妹がひとりと弟がひとりでした。


その弟は私の弟の真一と同じ歳でした。

偶然出会ったのではないとその時感じました。


和也の性格は我が道をゆく…と、いうタイプの人でした。


私としては生まれて初めてお付き合いする男性でもありました。

私は和也と出逢うまで、男性を知りませんでした。


和也が初めての私の男性だったのです。

私は和也にとても夢中になりました。


毎晩、長電話をしては両親などに叱られていたのです。

和也はよく私の家を訪ねては弟の真一と遊んだりしてくれました。


和也が運転免許などを取った時、よくドライブなどにも行きました。

なにしろまだ20歳なのです。


全てが楽しくて仕方がありませんでした。



そんな時でした。


教会である出来事が起きたのです。

通っていた教会は「家の教会」と名乗っていました。


その教会の牧師は普通の家庭の主婦の「飯塚晴美」と言う女性でした。

晴美には夫と4人の子供がいました。


長男は普通の会社員でした。

次男はその教会からの献金で神学校に通わせてもらっている神学生でした。


長女はその教会の日曜学校の教師をしていました。

三男の男性はまだ大学生でした。


とてもおかしいと思ったのは次男のことでした。

普通、教会の献金で神学校には通わないものです。


献金なども月収の10%を納めないと個室に呼ばれて「なぜ、献金しないのか?」と叱られるのです。


それにもっとおかしかったのは、晴美の子供たちの結婚相手を晴美自身が決めて、本人の意思とは関係なく結婚させていることでした。


そんなことがあり、他の信者の方も段々とその教会に通わなくなりました。

私と和也も同じく通わなくなったのです。


通わなくなってから私や和也は「サタン」呼ばわりされ、その教会から追放されたのでした。


早い話が、今でいうところのキリスト教の異端教会だったのです。

その教会をやめて良かったと思っています。


その後も、和也とは仲良くお付き合いをしていきました。


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