理由不明の夢

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 雲を食べる夢を見たんだ。


 それはとっても甘くて、綿菓子のような味がした。


 どうしてだろう。


 雲って本当は味がしないはずなのにね。


 どうしてそんな夢を見たんだろう。


 ひょっとしたら、理由なんてないかもしれないけれど。


 なんでだか、気になってしまうんだ。


 自覚はしていないけれど、もしかしたら、綿菓子を食べたいと思っているのかも。


 記憶にはないけれど、もしかしたら、どこかで最近綿菓子を見て記憶に残っていたのかも。


 それが無意識に影響したとか?


 どっちだろう。


 どっちなんだろうね。


 分からないよね。


 人間の記憶って曖昧だから。


「だから綿菓子を急に作りたいだなんて思ったの?」

「そうだよ」


 どうにも分からない事は放っておけない。


 そう思った僕は、綿菓子を作る事にした。


 つきあっている彼女と共に綿菓子を食べてみると、とても甘かった。


 甘いと幸せな気持ちになる。


 好きな人と、美味しい食べ物。


 何気ない幸せが二つ。


 なんだかいい気分になった。


 どうしてとか、理由は分からないままだったけれど。


 綿菓子が美味しくて幸せだから、それでいいやと思うようになった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

理由不明の夢 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ