転生したら最強勇者だったので、魔王城内でデスゲーム配信始めます。

@happy333

第1話 冴えないYOUTUBER、トラックに轢かれて転生する

 はぁ。

 チャンネル登録者が一向に増えねえ。

 俺はスマホをチェック。

 見れば毎日投稿しているのにろくにバズりもしないで再生数は数十から数百をうろつき、登録者数は五百人に届かないくらい。

 こんなんじゃ、続けてても意味ない。


 俺は人気者になりたい。

 それに収益化して金持ちになりたい。

 たった一度しかないこの人生を、個性活かして生きるんだ。

 そう想って配信を続けた。

 しかし、どんなにボイパやメントスコーラや地球グミや最強辛さのソースとかやってもバズりもしないしろくに登録者増えねえ。


 そう思って近所に出来たyoutuberスクールに通うことにした。

 そこで、収益化している黒スーツを着たおっさんにとんでもないこと言われた。


「お前は才能無いから止めちまえ」


 俺は余りにも一方的な物言いが嫌になって、反発してしまう。


「そんなの分かってますよ。成功するのに、何が必要なのか教えて下さい!」


「金と知恵と見た目だ」


「え……」


「この世はな、不平等なんだよ!」


 おっさんは立ち上がって、頭をかいて躊躇いがちに俺に言う。


「お前は大したルックスもねえ。中の下か下の上って感じの不細工だ。身長も166って感じだな。学歴か手に職か何かあるか? 専門知識がよ」


「あ、ありません」


「だろ!? YOUTUBEも昔は美味しかった。一回再生したら馬鹿みたいに金が入ってきた。でもどんどん新規参入が増えて視聴者数は取り合い状態になった。さらにはテレビ系の編集者や芸能人が増えて質が跳ね上がった。そんな中やっていくってのは何か光るものが必要だ」


 俺はむっと睨み返してしまう。


「で、でも……tiktokでバズった人が」


「あれも一部の天才だ。お前は、ルックスもない。頭も悪い。経験も無さそうだ。凡人として生きていけ。才能ある奴は育てるけど、無理に夢見せないのが俺の方針だ。帰れ」


 俺は泣きながらyoutuberスクールを出て行った。

 夢見たっていいじゃねえかよ。

 見た目が冴えない芸人や漫画家いるだろ。

 そいつらみてえに努力して、努力して、いつか良い女を抱いて、金で豪邸やグルメ三昧の日々を送って……俺は幸せになるって夢見て何が悪いんだよ。


「ちくしょおおおお!」


 俺が走り出すと、目の前の信号が赤なのに気付いた。


 ドン!


 巨大な音。俺はトラックと激突したのだ。

 さらに、


 ドン!


 もう一回トラックに激突。容赦ねえな、おい。

 あぁ……このことをyoutubeにアップすれば、バズるかもしれないぞ。

 バズったら、十万再生いって……登録者五百人くらい増えて……また再生できたらいいな。


 人生の記憶を思いだしていく。

 これが、走馬灯か。

 虐められたこと。振られたこと。大学受験に失敗したこと。

 良い思い出なんてねえな、おい。


 ……来世は、幸せな人生を……歩めるといいな。

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