8: (四月一三日)

ともに生まれた雛たちみたいに

いつもぴったり眠っている

隣の雛が羽ばたいて横の嘴に当たっても

そばにいるような関係 離れられない

一羽が目をつむり

一羽がつぶらな黒目を見開いて

じっと寄り添っている

ああ生命ならふたり同じ生まれ日があるのに

死は決して同じではない

哀しい予感に満ちたひととき

真っ白な産毛が薄茶色い硬い羽根に生え変わるとき

雛たちはいっせいに大空へ飛ぶ

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