夢見

アリア𓂃◌𓈒𓐍

〜すべての始まり〜

 私は、どこに行っても役目を渡されない。


でも、通常業務はある。いつもこんな、変化のない暮らしをしていた。ここの給料は


まずまずだし、状況の変化に馴染むのが苦手な私にとっては、まさに天職だ。


しかし、何らかの変化を、私は、求め始めてしまった。変化があっても馴染めないと言うのに。


私の価値観が変わったのは…


        『あいつ』の存在を知ってしまってからだ。


 いつもと同じ用に資料をまとめる。周りだって仕事仕事仕事。社会は金なんだ。


子供は楽でいいよな。そんなことを考えていたら、いつの間にか定時を過ぎていた。


家に帰っているとき、いつもの薄暗い公園に、飲んだくれのヤンキー達がいた。


気は進まなかったが、いつもの自動販売機のコーヒーを買って、


「運がないな。ここじゃなくてもいいじゃないか。」と思いつつ、通り過ぎた。


家に帰ると、いつもどおりコーヒーを飲みながら、明日の仕事予定の資料をちまちま書いていく。


いつもの調子だと12時前には終わるだろう。そんな調子で進めていたら、私はいつの間にか寝てしまった。


そのあと、私はもう一度起きた。しかしもう、時刻は2時過ぎ。

資料は、あと1行で終わる。


はあ。私も疲れているのだろう。


さっさと終わらせた後、私は食事も忘れてベットにもぐり、就寝した。

 

…何時間の時が過ぎたのだろう。起きたのだと思ったのだが、どうやら夢の中らしい。


ぐちゃぐちゃしていて、何か居心地が悪い。


少しずつ、少しずつ、進んで行き、確認していく。とてもじゃないが、久しぶりの夢の中を歩きたい好奇心がうずいている。


…昔はこんなこと、思ったこと無かったな。


✂ーーーーーーーーーーーーーー✂ーーーーーーーーーーー✂ーーーーーーーーーー


 しばらく歩いていたら、急に周囲が真っ暗になった。


でも、進んでいる感覚はあるため、思わず止まらずに、進んで行ってしまった。


本当に暗闇が続いている。ふと自分の心を表しているのかとも思えてしまう。


すると、急に見えない壁が現れ、ぶつかってしまった。暗闇だったからぶつかったのかもしれないが。


戻ろうかと悩んでいると、声がした。その時の背筋が凍るような感覚は、今でも覚えている。


私は、これは夢だと自分を説得し、謎の恐怖を振り切り…振り向いた。


…そこには、暗闇でもわかるような邪悪なオーラ。怪しく光る目。

人間とは思えないような背丈。


その形相とは裏腹に、少し甲高い声で話を始めた。


「平凡に疲れている人間よ。ここの世に立ち入れる少なき人よ。

 我の存在を知ってしまった。我の名は❏◎⊿。

 人間には…都市伝説、とやらの1つとして扱われているがな。

 ここに来れる者は数少なく、その数少なき者でも1度きりしか来れぬ。

 何か聞きたい事があるならば、今、ここで聞くがよい。」


そいつは待ち始めた。


急に質問と言われても、聞きたいことなんて…。

…いや、一つだけある。これだけは聞いておきたい。


「質問をしても良いんだな?それじゃあ、き…聞くぞ。その、ここに入れたり、

        お前に会える人間は、何か特定の条件があるのか?教えてくれ。」


言ってまもなくして、すぐに答えは帰ってきた。


「特定の条件。確かにそれはある。しかしなぁ、嬉しいぞ。

 ほとんどの人間が、質問をする前に、発狂し、我に飛びかかってくるのだ。

         …まあ、そいつらは二度ともとに戻ることはなくなったがな。」


私は少し、質問に答えてくれず、イライラしてしまった。


そして…


「…チッ……なあ。答えは?答え。早く言えよ。

            なあ。少し自分が偉いからって、バカにすんじゃねえ!」


しまった。


そう思ったのもつかの間、あっという間に禍々しいオーラが大きくなった。


なぜ、ここに来た人間が、私のように連れてこられた人間が、発狂したのか。


勝てないとわかって、あいつに攻撃したのか、分かった。


      ここに長居していると、精神が崩壊していくんだ。


そして、最後には、この世界の狂気が、壊れた精神に入り込み、

この異形な怪物に攻撃させる。


そうしたら、見るまもなく殺されるんだ。


俺は…こんな、夢の中で出会った異形に殺されるのか?


          そんなの…嫌に決まってるだろ…

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