第32話 『♡ Kyoko Love ♡』32-2


32-2.


 小竹みさおという女は、事実がどうであれ己が判定する中で

自分より不細工だと判定すると、あざけり、はたまた自分より

きれいな同性を見ると毒を吐かずにはおれない、いかんともしがたい

薄汚れた人間であった。


          ◇ ◇ ◇ ◇


 今日再検査に来た人の中に、とびきり綺麗な女性ひとがいる。


 洋服もバッグも靴も洒落ていて、身に纏う物全てが垢ぬけており

高価なものだと一目で分かるほど。


 まるで芸能人、そうモデルのようにスラリとした体形で、どこから

切り取ってみても美しいとしか形容のできない、女性なら誰もが欲する

ようなNice Bodyナイスバディ.バディ.



 彼女の前の受診者が帰った後、先生は急用で席を外してしまった。


 次の人を部屋へ通しておくようにと言われたので私は彼女を

診察室に案内した。


 その途上で、健診とは関係のない医師が所用で2人ほど部屋に入って

きたけれど2人ともちらちらと彼女のことを盗み見していたのを

あたしは見逃さなかった。


 あたしが見ていることも気付かないほど、彼女のほうに

気をとられているということもあたしには分かった。


 どんなにあたしがいい女でも、彼女にはちょびっと負けてる

から仕方ないか。つまらない。ふんっ。


 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る