第33話 『♡ Kyoko Love ♡』
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33.
若い医師の動向を逐一意図的に見ている小竹みさおは、そんな自分が時々嫌になる。
診察室に居る彼女はというと、たまたま入室して所用の通りすがりに
自分に熱っぽいビームを送った若き医師が2人いたことなども意に介して
なさそうに見えた。
これしきのこと、彼女にとっては取るに足らぬ日常的なことなの
だろう。
成人して化粧したりするようになってから、やっと上の下になれた
あたしは、それまでは中の中の容姿で、そのせいで物心ついた頃から
ちょっと可愛い系の同性からは優越感に浸れる存在として扱われ
下に見られてきた。
異性からの扱いはほんと、酷かった。
冷たく酷い扱い、もしくは空気のような扱いを受けてきた。
だ・か・ら・・嫌いだ。
あたしは綺麗で性格の悪い女が嫌いだ。
これまでの人生での経験上、綺麗な女は大抵意地が悪い、というのが
鉄板で、特に器量の悪い同性に対しては、その意地の悪さをとことん
発揮する生き物だ。
大人になった今でさえ、若い女たちは残酷で。
綺麗でも何でもなく、平凡で平坦な顔面にたくさんの化粧品を
塗り重ねて仕上げただけの、作られた美貌。
そんな作り物の顔面を本物のように取り繕う職場の女たちは
自分の容姿をこれでもかとレベルアップさせて見せたいようで
よく、あたしを飲み会に誘ってくる。
彼女たちは飲み会と称してその実、合コンのような飲み会を
通してなんとかして医師たちとカップルになりたいのだ。
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