第29話 『♡ Kyoko Love ♡』

29.


 「あははっ、とんでもないモン預かる羽目になっちゃったな」


 「あははって他人事じゃないですよぉ~。

 一応私たちふたりに打診してきてたんだから、あなたも責任者

ですよー」 


 「あはは、猫の責任者って~なんなんだよ。

 しかし、恭子ちゃんといると面白いことに出くわすよなぁ~」


 「なになに~、その言い方。まるで今までにもいろいろあった

ような言い方に聞こえるんですけどっ」


 「振り返れば、そうだ、こんなすごいのは初めてだったわ」


 「ねえねえ、この子むちゃくちゃ可愛くない?

 よしよし、もう少ししたら女の子が迎えに来るからね

 いい子にしてようね~」


 子猫に言いくるめている恭子ちゃんと子猫は、どちらもそれはそれは

可愛くて・・。


 普段の俺なら絶対吐かない台詞が勝手に口をついて出てしまった。


 最初は子猫を見るつもりで見てたら、恭子ちゃんの可愛い顔も

一緒に見えるんだよなぁ~。

一匹とひとり。


 子猫が我が子で隣にいる恭子ちゃんが奥さんで・・という妄想も

膨らんできて。


 「う~ん、かわいいっ」

と子猫にやさしい眼差しを向け囁く彼女・・もかわいいっ。


 「好きだ・・」

 俺の声帯からポロリと零れ落ちた言葉に。


 彼女がよろめいて子猫がずり落ちそうになり、


 「だいじょうぶ? 」


 「え~と、ちょっと椅子に座りましょうか」


 そう言うが早いか、彼女が側にあった長椅子に座ったので

俺も右に倣えで横に座った。

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