第5話 『♡ Kyoko Love ♡』5-2



5-2.☑



 「あぁ、悪いっ!

 俺ちょっと今日はどうしてもこれから社に戻らないと・・・」


 新聞記者の垣本はこれまでの飲み会でも時々こういう

ことはあった。


 飲み会発足後に、仕事柄こういうことがあることは彼か

ら聞いていたし、実際今までもあり、私と森田さんは社に

戻って行く彼を労いつつ見送った。


 「恭子ちゃんとふたりっきりで飲むっていうの初めてじゃない?

もしかして」


 「うん、初めてだね」


 「何か俺に言いたいことあるんじゃない? 」


 「ないって言ったら嘘になるかなぁ~」


 私は自分のグラスを手に取り視線はグラスに向けたまま

意味深に言ってみた。


 「白鳥さんとのことは・・」


 付き合ってた頃は彼女のことを多恵ちゃんと呼んでいたの

に、今は他人行儀な白鳥さんと称する森田さんに、冷たいな

ぁ~と心の中で突っ込みを入れた。


 そしてそれが今の彼の心情の現れなのだと知る。


「彼女とのことは遊びだった? ・・ってことはないよね? 」


 「それは、誓ってないっ。

 結構真剣だった、って言っても今更かぁ~。

  恭子ちゃん、信じないよな? 」


 「どうだろ? 分かんない。

 だって本気で付き合ってたのに、二股ってどういうこと

なのかなぁ~とかって疑問が出て来るし」


 「そっか、やっぱり俺は二股してたことになってるんだ。

 やっぱり信じてはもらえないかー、参ったな」


  「白鳥さんに元カノは泊まってなかった、ってちゃんと

言い訳したの? 」


 「してない」

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