第23話

徳島は昨日夜遅くまでかけてカスタマイズしたAUGを持って仮想空間に入った。


仮想空間導入前の意識を失う感覚にはまだ慣れない。


いや、何回かすれば慣れるのだろうか?


まだチュートリアルの延長ということで敵はNPCしかおらず、仮想空間の身体と現実の身体への意識同調が慣れるまで続くということをカテジナからは言われている。


基本的にカテジナはプレイヤーを増やしていく考えだが、初期のプレイヤーとしては、年齢よりは精神的な成熟度を考慮して勧誘するらしい(無理矢理意識を奪うのを勧誘といえばだが)


精神的に成熟していれば子供でも老人でも勧誘するが、そうすれば仮想空間の肉体(20代〜30代の鍛えられた兵士を想定)と意識の同調がなかなか合わず、うまく動けない可能性があるのでチュートリアルは長めに考えているとのことだ。


まぁ、仮に現実で小学生のプレイヤーがいたとして、いきなり大人の身体になれば視点や身体のサイズが違いうまく動けないのは当然だろう。


その他にも、育った環境では武器を使用して人に危害を加えることに忌避感を抱く人間もいるだろう。


特に、一般的な日本人で現実的に人に銃を向けて引き金を引くということに躊躇いを持たない人は少ないだろう。


自衛官の徳島でも、忌避感を抱くのだから、一般人では尚更だ。


そんなことを考えながら、徳島は今回のマップである高原を狙撃を警戒しながら、歩を進める。


今回は、AUGに4倍スコープを搭載したということで、長距離での戦闘を考慮して、見晴らしのよいマップである高原を選択したのだ。


もちろん、見晴らしがよいということは、自分も狙撃されることも考えられるので、疎らにある樹木や草むらに身を隠しながらの前進である。


NPCは基本的にはショットガンやハンドガンなどの射程距離が短い装備が多いが、中には長距離狙撃用のスコープを搭載したSKSやモシンナガンを持っていることがあるので油断してはならない。


徳島はそんなことを考えながら、スコープを覗き、こちらに全く気がついていないNPCをヘッド・ショットで葬りながら前進を続けるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る