第11話 悪評の女勇者
久々にブチギレて、少しすっきりしたわ。
そういえばステータス更新がまだだったわね。
【幸城 美桜】
職業:庶民(勇者)
レベル:11
HP(体力):115 /115
MP(魔力):105/105
ATK(攻撃力):173→193
VIT(防御力):170→180
AGI(敏捷力):176→186
DEX(命中力):172→182
INT(知力):185→195
CHA(魅力):180→190
SBP:70→0
スキル
《瞬足Lv.1》……疾風の如く素早く移動できる。AGI+10補正
《不屈の闘志Lv.1》……HP「0」となったとしても、10%の確率で「1」で復活する。
《怒りの鉄拳Lv.6》《狡猾Lv.9》《恐喝Lv.7》《統率力Lv.3》
《鑑定眼Lv.2》《隠蔽Lv.10》《
《アイテムボックス》
魔法習得
《
ユニークスキル
《タイマー》
称号:
SBPを攻撃力中心に均等に割り振ってみた。
もう少しちゃんとした戦闘を行い、自分の戦い方を見定めていくことにするわ。
前回の戦いと今回のストレスもあってか、技能系のスキルも増えている、
《瞬足》と《不屈の闘志》、中々使えそうね。
さらに《ライトアロー》という魔法も覚えていた。
光属性に位置する攻撃魔法で、遠くにいる敵に撃てるのが利点だ。
新しい称号はムカつく名だけど、特にデバフとかなさそうだから良しとするわ。
「アイリス、私の職種は庶民だけど(勇者)ともなっているわ。どういう意味?」
『それはヨハイン国王が勝手に剥奪しただけですので。あくまで美桜さんは女神であるこの私が導いた勇者であり、貴女が望まぬ限り誰にも取り消すことは不可能です』
「弟と誤認された勇者だけどね……そうそう、あんたの駄女神パワーでセラニアにヤキ入れられないの? あの痴女教皇、あんたの信者でしょ?」
『基本、わたしはこの世界に干渉しないというルールですからね。それに信者達の信仰力で、わたしの存在と力が維持されていますから。ましてや教皇となれば多大な影響力もありますし……ぶっちゃけ、ムカついてもお得意様に手を出すわけにはいかないじゃないですか?』
「フン、要は女神としての存在を維持するのに信者に媚びへつらわなければいけない事情があるのね。現実世界の政治家達の方が民意を無視して好き放題やっているのに……まぁいいわ、セラニアへの落とし前は私が必ず付けてやるんだから」
『ああ、それと美桜さん』
「何よ?」
『誰が駄女神パワーですか!?』
何、今頃キレてるのよ?
あんたのそういうところが駄女神だっつーの。
それから昨日の森に入り、モンスターを討伐する。
数個の『
「……ぜ、全部で15万Gとなります」
「ありがと」
昨日とは明らかによそよそしく態度が違う、受付嬢。
彼女だけじゃなく、他の冒険者達からも白眼視で見られている。
「あいつだろ? 無理矢理、神官様を手籠めにしたって奴?」
「嘘、嫌だぁ……どうして普通に街中を歩いているのよ?」
「なんでも国王様の温情で『勇者』を剥奪され、城から追放を受けたらしい……どうせなら死刑にしてくれりゃ良かったのによぉ」
それは国民にまで及び、街を歩く度に周囲から囁く声が聞かれていた。
(もう国内中で噂が広まっている……全てセラニアの仕業ね)
早々に国内で風評を広めたに違いない。
『まったく酷い女狐教皇です! 信仰する女神の顔が見てみたいです!』
(いや、あんたでしょ? ガチでバカなの? 駄女神を通り越して、もう糞女神ね)
『やめてください! まだ駄女神の方がマシです!』
どちらでもいいわ。
けど困った。
これじゃ、まともに公道を歩けやしない。
下手に民から因縁つけられたら、頭にきてブン殴ってしまいそうだし。
私は気を遣い、裏路地を歩いた。
土地勘はなくても、
こんな駄女神もそこだけは役に立つ。
そのまま、ショーンの武器屋へと足を運ばせ行く。
お金も40万以上あるので、手頃な武器を買うことにした。
だが店に入った途端。
「――テメェ! よくものこのこと来やがったな!? 見損なったぞ、コラァ!」
早々、ショーンが怒りの形相で詰め寄ってくる。
こいつも噂を耳にしたってクチか?
まったくウザいわ。
「たとえ客でも、テメェのような非常識な野郎に売る武器はねぇ! とっとと出て行きやがれぇぇぇ!!!」
ショーンは興奮し、勢いで私の胸ぐらを鷲掴みにする。
が、
ぷにゅ
「――ん? あれ? 何、この素敵な感触……妙に柔らかくて張りがあるぞ」
何かに勘づいたショーンは片手で、私の胸をまさぐり始めてきた。
「あれ? あれ? これって……まさか、おっぱ――」
「このぅ、ドスケベがぁぁぁ! 《怒りの鉄拳》ッ!!!」
「ぶほぉぉぉおおぉぉぉ……――」
ショーンが天井に突き刺さるほど、華麗に宙を舞ったのは言うまでもない。
束の間。
「……大変失礼しました。まさかミオさんが女子でいらっしゃったとは……はい」
思いっきり頬を腫らしたショーンが、両腕を組みながら仁王立ちする私の前で土下座して身を震わせている。
よく死ななかったもんだ。それなりに鍛えているようね。
私は既に《
「幸城 美桜。それが私の本名であり現役の女子高生よ……あんた自分が何をしたのかわかっているわよね?」
「はい! 大変申し訳ございませんでした!」
ショーンは額を床に叩きつける勢いで頭を下げた。
「謝罪ですませるなら法律なんていらないわ。確か異世界じゃ、婦女暴行って極刑に値するのよね?」
「暴行だなんて、そんな……俺、ちょっとおっぱい触っただけじゃないですか? 確かに最高の手触りであり素敵な感触でしたけど」
幸せに浸る男の言葉に、私はピクっと眉を痙攣させる。
「あんた、現役JKのおっぱい触ったのよ? 私が居た世界じゃ生爪はいでも足りないくらいの大罪よ!」
「すみません! 本当にすみません! けど、どうして本当のこと明かさないんだ? キミが女子だってわかれば、そんな疑いなんて簡単に晴れるし潔白を証明できるだろ?」
「あんたのような信用のできない連中が多いからよ! 別に今から明かしてもいいんだからね! その代わり、あんたの人生オワコンよ!」
「いえ、それだけは……本当、マジで勘弁してください! なんでもしますから!」
その言葉を聞き、私の《狡猾》スキルが発動する。
ニヤッと口端を吊り上げた。
「今、なんでもするって言ったわよね、ショーン?」
「はい、ミオさん! 俺にできることがあればなんでもします!」
「なら、この店で一番いい武器と装備類を売ってちょーだい。これで――」
私は布袋に入った全財産を目の前で放り投げた。
ショーンは目の前になる袋の中身を見て「うおっ少な! たったのこれだけかよ!」と狼狽している。
本当なら「ただでくれ」と脅すこともできるわ。
けど、それだと恐喝だの何だのと後々の問題となりかねない。
だから商売として成り立たせるため、私もある程度のお金を渡す必要がある。
あくまで安く売るかは、ショーンの忖度だからね。
『……エグぅ。そういえば、これこそが美桜さんの本性でしたね』
耳元で、アイリスがドン引きして何か呟いている。
まったく気にしないわ。
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