転生したらニンゲンでした
サンノミヤン
さいしょの話
転生したら○○だった。
そこには色んな言葉が当てはまる。
この世界から見て異なる世界、そこに転生したという趣旨の小説でよくあるタイトルだ。
しかし、僕はどうやら「ニンゲン」という生物に転生したようだ。
通称「ニンゲン」または「ヒト」。
群れを作り暮らす生き物。
この世界ではソレが一番栄えている種族だとされているらしい。
「栄えている」の基準を作ったのがヒトなので、当然のような気がする。
僕はその中でも「日本」と呼ばれる国家の領地に生まれたらしい。
この狭い世界で、ヒトはひしめき合い暮らしている。
ニンゲンは脆く、儚い存在である。
それ故にか、互いに支え合っていく事で生き延びていく。
この世界で上手く生き延びるコツは他のニンゲンを頼ることだ。
自分一人では出来ないことも、他のニンゲンが出来ればそれで解決する。
ニンゲンが群れで生活する故の強みである。
しかし、問題もある。
ニンゲンの群れは独特な世界観や常識観を持っている。
その世界観や常識観を理解出来ない僕のような存在は、「人間社会に向いていない」という区分に分けられる。
こちらに転生して来てから、何度もその理解出来ない感覚に悩まされた。
最終的にはうつうつとした気分が増え、抑うつ状態になったりしていた。
しかし、これは僕だけのせいだろうか?
そもそも人間社会における世界観や常識観におかしなところは本当に無いのだろうか?
また、そうならない世界線はなかったのだろうか?
僕は好奇心があり、ものを考えるのが好きだ。
この世界の面白いところやおかしなところ、ニンゲンと程々に付き合う方法、それを発見してみたい。
せっかく転生してきたので、僕はもう少しこの世界を観察することにした。
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