フランスに憧れて
神馬 皓介
第1話 フランスに憧れて
夢っていつかは本当に叶うのだろうか。
私は大学生の頃、「フランス人は10着しか服を持たない」「ミッド・ナイト・インパリ」という2作品(片方は書籍で片方は映画)に出会い、遂に自分の夢が見つかった。
いつか必ずフランスに行こうと。
元々印象派の絵画が好きで、華やかで、魅力的で、クラシックな世界観のあるフランスという国が常に私を虜にしていた。
小学生の頃から「レミーの美味しいレストラン」(また映画かよと思うかも知れないが、私の家では必ず毎日夕飯の後、家族で映画を1本見てから寝るという習慣があった)が好きで何度も見返していた私は、漠然といつかこんな素敵な街に住めたらいいなあ、せめていつか旅行で行けたらといいなと思っていた。
時は過ぎ現在(25歳)。未だそれを実現できずにいる。なんとか時間のある大学生のうちに行ってしまおうと思ったがお金がなく、アジアの国をいくつか旅行して大学を卒業。社会人になり、お金を貯めて行こうとしたが、逆に時間がなく、さらにはコロナといったダメ押しで、気づけば今年4年目になる。
別に歌手になりたいとか、大女優になりたいとか、そんな大層な夢ではないはずなのにどうしてこうも叶わないのか。
夢っていつかは本当に叶うのだろうか。
こんなディズニー映画の脚本のような書き出しをして、少々気恥ずかしいが、夢を持って生きている、この今、この一瞬が、きっと夢の一部であり、尊いものなのだろう。
自分がいざフランスの石畳に降り立ち、バゲット片手に、セーヌ川の辺りを歩く、果たしてその一瞬だけが幸せで満ち足りているものなのだろうか。
夢というのは、長く続いている川のように、見つけた瞬間から流れる時間のことを言うんだろうなと最近になってようやく私は思えたのだ。
そう、だから私は今、夢のなかにいる。
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